2024年12月27日( 金 )

【まるの会・一條氏のコンサル資質に疑義(14)】noco-noco株価、ついに0.2ドルを割る

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 スリーダムアライアンス(以下、3DOM)の子会社noco-noco incの株価については、前回、松村明彦オーナーと「まるの会」の一條好男氏の効果でわずかに株価が上がったことを報告したところだ。11月28日にそれまでの最安値である0.22ドルを記録していた株価は、松村明彦、近藤克彦両氏が参加して壇上で熱弁をふるった当日の3DOMのイベントの後0.24ドルまで浮上、さらに12月1日に開催された「まるの会」の望年会の後はさらに0.26ドルまで浮上していた。カリスマの神通力としてはやや期待外れの感もあったが、持ち直していたことは違いなかったのである。

 ところが、その後の経緯を追うと、12日の0.26ドルをピークとして株価は急落し、15日には0.2ドル、21日の時点では一時0.17ドルを割る寸前にきている。0.2ドルとは、noco-nocoが上場した8月28日時点の株価は2ドルの、10分の1である。時価総額も上場時は、$276,626,000=¥41,493,900,000(1ドル=150円換算)だったものが、21日時点では、$23,513,210=¥3,526,981,500(同)までしぼんでいる。
https://www.bloomberg.co.jp/quote/NCNC:US

 なぜこのようにnoco-nocoの株価は一方的に落ちるのだろうか。同社の企業概要はおおよそ次のような取り組みを説明している。

 「noco-nocoは、長期持続性と耐熱性を備えたバッテリー技術を開発。脱炭素に取り組む車両運行者や交通機関に対して、実用的な共有モデルを備えた炭素削減のためのカーボンニュートラルなリースプラットフォームを提供することを通して、脱炭素に向けた解決策を世界中の顧客に提供する」

 建前は立派なテック系スタートアップだ。では、この株価とは、同社の取り組みに対する評価が株価2ドルから0.17ドルへ、時価総額414億円から35億円に評価が落ちたことを表すのだろうか? 

スタートアップを利用した資金集め

 日本経済を革新するには、画期的な新しいアイデアや技術を実現させる企業としてのスタートアップが必要だ。しかし、スタートアップをめぐる資金集めについては、本場シリコンバレーを騒がせた血液検査スタートアップ「Theranos(セラノス)」の例をはじめとして、疑惑が多発している。なぜそのようになるのか?

 スタートアップ企業はその性格として、先進的な技術可能性で高い期待を惹きつけ、資金調達の必要性と将来的な利益還元をアピールするが、専門技術を理解することの難しさに遮られて検証が不十分なまま、実績のない企業に巨額の資金が流入するという仕組みを、たくみな宣伝だけでつくり上げてしまうのも可能ということだ。

 “Fake it till you make it.”「うまくいくまでは、うまくいっているふりをする。」

 上記の言葉は、詐欺師の方法論ではない。心理的に、成功体験を事前に体験するような効果をもたらす自己暗示の1つとして、また社会的にも期待を集めるための自己表現の1つとして、個人の成功哲学や企業の組織論などで有効な方法論だ。だが、その方法論の根幹に社会的な公共性や倫理性がなくては、詐欺の手段と同じものに堕してしまうのも自明だ。

経営者の見えない倫理性

 3DOMの松村明彦オーナーは、セミナーで盛んに環境に配慮した社会を実現するためのスタートアップとしての自社の役割に言及しているという。発言そのものは倫理性が高いものだが、これはあくまでも未来の倫理性実現について言及しているもので、現在の組織活動の倫理性を述べているものではない。そして、経営者の倫理性は表面的な言葉からは分からない。客観的に判断する指標として、業績は無視できないのである。

 3DOMの業績については下記の過去記事を参照されたい。
【まるの会・一條氏のコンサル資質に疑義(7)】スリーダムアライアンス、豪華取締役陣で24年、勝負の年に勝ちをつかむ?

 noco-nocoの株価の騰落ぶりを見るにつけても、その実態は、親会社の3DOMが事業資金確保のために株を切り売りするたびに、値が付かない株価は暴落を続けてきたというものだろう。

 このような企業の株をめぐってスタートアップとしての期待を掲げ資金集めを行った経営者と投資コンサルタント。その倫理性がどのようなものかは明らかだ。

【寺村朋輝】

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