2024年11月23日( 土 )

今年のベツレヘムはクリスマスを祝わない 12月は寄付月間

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ユナイテッドピープル(株)
代表取締役 関根健次

 映画の配給・宣伝・制作を手がけるユナイテッドピープル(株)(福岡県糸島市)は、来年1月からドキュメンタリー映画『ガザ・サーフ・クラブ』を上映する。同社代表の関根健次氏から、同映画の案内とガザへの寄付に関する報告があったので紹介する。

 キリスト生誕の地、ベツレヘムはパレスチナ自治区内にあります。半年前に訪れたばかりですが、例年ならこの時期は外国人がごった返し盛大にクリスマスがお祝いされるのですが、この地のキリスト教指導者たちが、ガザでの壊滅的な戦争で人々が苦しんでいることから、公式なお祝いの一切を中止しました。

 福音ルーテル・クリスマス教会に展示されているキリスト降誕シーンは、瓦礫の下で生まれ、パレスチナ人のケフィエ(スカーフ)に包まれた赤ん坊のキリストです。

 すでにガザ地区では人口の約1%が命を失うという深刻な危機が続いています。

 12月21日の統合食料安全保障フェーズ分類(IPC)報告書は「ガザでは現在、4世帯に1世帯以上が極度の飢餓に直面しており、適切な食料、清潔な水、保健衛生サービスへのアクセスが回復しない限り、飢饉が発生する危険性がある」と危機を伝えています。

 これは初めての取り組みとなりますが、1月13日(土)に劇場公開する『ガザ・サーフ・クラブ』の大阪、第七藝術劇場の特別先行上映の売上全額をNGOに寄付することを同劇場と決めました。少しでも、できることをと劇場が提案してくれたのです。

 1947創業の総合製紙メーカー「中越パルプ工業(株)」は、国産竹100%を原料とした「竹紙」を製造していますが、以下の「竹紙カレンダー」の売上を全額寄付することを決めたそうです。

 できることを、身近なことから少しでも。12月は寄付月間でもありますが、愛、優しさが広がっていきますように。

映画『ガザ・サーフ・クラブ』上映

 1月13日(土)シアター・イメージフォーラムほかにて緊急公開となるドキュメンタリー映画『ガザ・サーフ・クラブ』

 世界最大の「天井のない監獄」に閉じ込められたガザの若者たちの自由と解放を求めてサーフィンに興じる姿を伝える作品です。

『ガザ・サーフ・クラブ』解説にかえて

 岡真理さん(早稲田大学文学学術院教授、京都大学名誉教授)
 イスラーム映画祭『ガザ・サーフ・クラブ』上映後トーク内容より(2020年3月14日)

 イスラーム映画祭で上映されることになるまで、この映画のことは知りませんでした。ガザにサーフクラブ? 悪い冗談かと最初は思いました。

 ガザは地中海に面して、その海岸線は40㎞におよぶ遠浅のビーチです。当然、サーフィンはできるはずですが、でも、「ガザ」と「サーフクラブ」というのは、「白い黒板」というのと同じ、相容れない組み合わせだと、ガザの現実を知っている人なら感じるのではないでしょうか。なぜなら、サーフィンのイメージは、何の憂いもない人たちのスポーツ。湘南とサーフィンならぴったりですが、ガザというトポスはそうしたイメージの対極にあるからです。

 この映画が公開されたのは2016年。映画の中で「昨年の戦争」と言っているのは、2014年7月から8月にかけて51日間続いた戦争のことです。映画は、その2014年から2015年にかけての冬のガザが舞台です。

 主人公の1人、イブラヒームがハワイに行って、モノクロのガザから、カラーの世界に変わります。地中海を意味するアラビア語の正式名称は「白い」という形容詞がつきます。なぜ「白い」のか。地中海式気候では冬は雨季です。海が荒れて波が高く、白い波濤に満たされるからです。

 本作の舞台が冬のガザなのは、封鎖されているガザに入れたのが、たまたまその時期だったからなのか、それとも冬の方が波が高くて、サーフィンに適しているからなのか。いずれにせよ、青く晴れ上がり緑も豊かなフルカラーのハワイとの対比で、季節も相俟って封鎖下のガザの陰鬱さが強調されています。

 2014年の時点で、ガザの封鎖は8年目に入っていました。

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解説にかえて ─ 映画『ガザ・サーフ・クラブ』オフィシャルHP

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