政府に見殺しにされる国民
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NetIB-NEWSでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は、能登地方原発をめぐる北陸電力および政府の対応を批判する1月6日付の記事を紹介する。
石川県で1月1日16時10分に発生した大地震。石川県志賀町で震度7を記録。マグニチュード7.6の巨大地震だった。
石川県志賀町では地震の揺れの強さを示す最大加速度が2828ガルを記録。東日本大震災で記録した2933ガルに迫る激しい揺れが観測された。
石川県志賀町には北陸電力志賀原子力発電所が所在する。志賀原発の耐震設計基準は東日本大震災発生までは600ガル。東日本大震災後に引き上げられたが、それでも1000ガルにすぎない。
原発敷地内でどの程度の揺れが観測されたのか。北陸電力は事実を速やかに公表するべきである。
1月1日に政府は志賀原発で「火災が発生した」と発表した。志賀原発で油漏れと変圧器の一部破損が生じ、原発関係者が火災の発生と認識して国や関係自治体などに報告した。
これを受けて政府が「火災が発生した」と発表したもの。その後、北陸電力と政府が、発表が間違いであったことを明らかにした。
北陸電力の不手際はこれだけでない。志賀原発の敷地内に海水を引き込んでいる水槽の水位について、当初、「有意な水位の変動は確認できなかった」としていたが、実際には約3m上昇していた。
この点についても北陸電力が当初発表を撤回して、内容を修正した。さらに、北陸電力は1月5日になって、志賀原発2号機で外部電源を受けるために必要な変圧器から漏れた油の量を大幅に修正した。当初は漏れた油の量を3500lと説明していたが、実際には当初発表の5倍超にあたる約1万9,800lだったことを明らかにした。
鳩山元首相が志賀原発で火災が起きたとXで発信したことを批判する記事が流布されているが、情報発信は政府と北陸電力の誤発信を発信通りに伝えたものに過ぎない。その情報発信を批判する前に、北陸電力の度重なる失態を批判するのが先決だ。
岸田首相が1月4日に首相官邸で年頭記者会見を開いたが、原発について一言も言及しなかった。会見開始後40分が経過した時点で、質問のために挙手している記者がいるにもかかわらず会見が打ち切られた。
この状況下で記者の1人が、「総理、原発について質問させてください」「(能登半島)地震から3日経過したのに、いまだに総理は原発についてコメントしていません」「質問させてください」と声を上げたが、岸田首相は何も答えず、会見は強制的に打ち切られた。
岸田首相の「聞く力」は「大きな声を聞く力」であって、国民の切実な声については「聞き流す力」しか持ち合わせていない。
※続きは1月6日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「政府に見殺しにされる国民」で。
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