2024年07月21日( 日 )

外国人にとって魅力的な日本の「空き家」~Atlas レポート

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 Atlas International(Asia)の清田義明氏(香港在住)より共有していただいた「Atlas レポート」を掲載する。

 年始より多くの犠牲が出てしまった元旦の石川県における震災、羽田空港の事故など痛ましい出来事が続きました。また、金融業界においても、自身のがん闘病などの経験から業界にさまざまな警鐘を投げかけてきた経済評論家の山崎元氏が元旦に亡くなり、私自身も人生の意味や目的について考えさせられる時間が多くなっています。

 「ウォーレン・バフェットのパートナー」として、当レポートで昨年取り上げたチャーリー・マンガー氏も昨年11月28日に99歳で他界されました。マンガー氏を悼んだ昨年12月3日のBusiness Insider誌では、昨年5月に同氏がバフェット氏と共同経営されていたバークシャー・ハザウェイ社株主総会で話された、すばらしい人生の教訓を改めて紹介しています。

「とてもシンプルなことだ。稼ぐ額よりも少ない金額を使い、そつなく投資し、有害な人々や有害な活動を避け、生涯学び続けようと努力し、さまざまな目先欲求を先延ばしにすることだ」

 それに先立ち同じ席でバフェット氏も、「基本的に親切な人で友達がいないまま死んだ人を私は知らない。そして、金持ちで友達がいないまま死んだ人を私はたくさん知っている」と、人生の要諦ともいえる言葉を改めて述べています。

 そしてバフェット氏もマンガー氏について「本当にすばらしいのは、人生でやりたいことをやり、人生で付きあいたいい人と付きあうことだ。そして私達2人はその精神をずっと持ち続けている」と語っており、すばらしいパートナーシップであったことでしょう。

 本年もまた皆様とご一緒できますことを心より感謝申し上げます。引き続きよろしくお願いいたします。

インドが世界第4位の株式市場に

 インドの株式市場の時価総額が初めて香港のそれを上回り、それにより世界第4位の市場規模になったとの記事が経済紙ブルームバーグに掲載されていました。

 香港市場においては中国本土において最も影響力の強い企業が上場しており、中国のゼロコロナ政策、中国国内の不動産市場の危機、および西側諸国との対立による政治的リスクなどにより、中国に対する投資の魅力が失われつつあります。

 香港の株式市場でも新規上場は枯渇しており、2021年から6兆USドル(700兆円超)もの時価総額が失われた、との試算になっています。

 一方インドにおいては、高い教育水準を誇る若年層に代表される人口動態、政府の政治改革により、投資機会として近年さらに注目されています。海外の機関投資家、ならびに年金基金からの資金流入も続いており、インドの株式指数であるサンセックス指数は8年連続の上昇となっているそうです。

 今後もインドの株式市場および成長には注目していく必要がありそうです。

外国人にとって魅力的な「空き家」

 日本国内のとくに地方において顕著になっている空き家問題が外国人にとって「ドリームハウス」を手にする機会を生み出している、との記事が1月24日付のBusiness Insider誌に掲載されていましたのでご紹介します。

 現在日本には、官民による統計から850万から1,100万戸ともいわれる空き家が存在し、国内シンクタンクの試算では、2033年には日本の住宅の30%が空き家になると試算されています。

 一方、外国人にとっては、空き家は住宅を安値で購入できるチャンスとなり、なかにはリノベーション物件を賃貸して家賃収入を得ることも行われているようです。

 「なぜこのような現象が生まれているのか、という背景は実はより複雑である」との通り、時に海外メディアが日本を冷静に分析する姿勢は参考になります。

 Business Insiders誌のシンガポール支局は2021年に日本の「ゴーストタウン」の問題を取材し、日本において人口の都市部への流入が何十年にもわたって継続していることを指摘しました。また、2022年には出生率が7年連続で下落し、前年の1.3から1.26にまで減少していることを指摘。シンガポール国立大学の教授からの「問題の核心は『日本には十分な人口がいない』ということに尽きる」という言葉で締めています。

 中古よりも新築を好む傾向から「DIY」の文化薄いこともOECDの調査で指摘されており、また1981年の建築基準法以前に建設された空き家には耐震補強が必要とされています。

 政府の観点から見ても、2015年以前の「空き家対策特別措置法」以前は、空き家の所有者に対する法規制がなく、また長年空き家として放置されている物件の所有者を明確にすることも簡単ではない、とのことです。

 記事ではカナダ人やイギリス人が、長野や茨城などの空き家を購入し、リノベーションのコストを考えても自国でよりもはるかに安い価格で購入し、バケーションホームや賃貸物件として貸し出す例が挙げられています。

 一方で「驚くべきことは、地元の人々はそのような外国人からの興味に依然気付いていない」とのこと。「人の行く裏に道あり花の山」という相場の格言が思い出されます。人々がピンチと見るところにチャンスを見出す、そんな生き方を歩んで行きたいものです。

関連記事