2024年11月21日( 木 )

上村建設、「上栄会」と目指すグループ売上高455億円(後)

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上村建設(株)
代表取締役社長 上村 英輔 氏

 ──第2次中計では、上栄会との連携強化の取り組みについても触れられています。

 上村 今後の成長の礎となる盤石な施工体制の構築に向けては、上栄会と今以上に強固な信頼関係を築き上げていくことが必要不可欠だと思っております。

    建設業界の人手不足は以前にも増して深刻さを増していますが、上栄会の会員企業のなかには、たとえば採用に人を割く余裕がなかったり、会社の知名度があまりなかったりで、リクルーティングに苦戦されているところも多くあると思います。そこで、当社が窓口となってインターンシップや工事現場見学会を実施するほか、どこか大きな会場を借りて上栄会の各企業にブースを出してもらうなどして、当社と上栄会が一体となったかたちでの新卒採用およびその後の育成などに、継続的に取り組んでいきたいと考えています。

 また、現状とくに職人不足が顕在化している7工種(型枠、鉄筋、造作、金属、左官、電気、給排水)については、実績のある業者を上栄会に加入斡旋する取り組みも実施していきたいと思います。そうして上栄会そのものを強靭化していくことで、施工のスケジュール調整が容易となり、全体としての工期の平準化と施工能力の拡大につなげていきます。

 ──上栄会の青年部会も立ち上げられました。

 上村 上栄会には長いお付き合いの会員も多いのですが、だからこそ、ともすれば「なかなか本音がいえない」「本音をいってもらえない」といった関係性になりがちです。そうではなく、業界が抱える課題や各社それぞれが抱える問題などを共有し、もっと腹を割って本音で話し合いながら、今後の当社と上栄会の姿を構築していくことを目的として、22年10月に20社で青年部会を発足させました。主に会員企業の後継者候補などに参加してもらっており、まだ発足から1年ぐらいではありますが、これまでに懇親会などを随時行いながら親睦を深め、各社が抱える悩みや困りごと、問題などを率直に共有できる場づくりを進めています。

 私の感触ではありますが、参加メンバーからは「実は昨年に比べて、あまり受注をいただけていないんですよ」などのリアルな話も含めて、ずいぶんと本音を聞けているように思います。そうしたメンバー同士の情報共有・交流のなかから、建設DXの活用推進や女性の現場作業環境の改善といった成果も徐々にですが、出てきています。今後もメンバーでの会議を重ねるなかで、横のつながりを強めていくとともに、ゆくゆくは青年部会から出た意見などを集約し、親会である上栄会に提言していけるような有意義な会にしていきたいと思います。

 ──最後に、御社および上栄会の今後についてお聞かせください。

 上村 当社がいくら多くの工事を受注したところで、上栄会の協力なしに竣工にはたどり着けません。今後も上栄会の会員企業それぞれの成長・繁栄のために、当社も元請としてできることを行っていきたいと考えています。たとえば、受注確度の高い2年先くらいまでの案件情報―「どのくらいのボリューム」「どこで」「どのぐらいの難易度」などの共有を行うことで、会員がスケジュールを読みやすくなるような仕組みの提供を始めました。

 やはり当社と上栄会は同じ船に乗った運命共同体というか、良いかたちでの共存共栄の関係でありたいと思っておりますし、先ほどの三方良しのくだりで述べた「社員の幸せ」の「社員」には、当然ながら上栄会も含まれています。入っていただいている会員企業に、「入って良かった」と思っていただけるような会にしていければと思っています。

 ただし、単なる受注と発注だけの馴れ合いの関係ではいけません。先ほどの青年部会の取り組みもそうですが、お互いがチャレンジ精神をもって切磋琢磨し、共に成長していけるような関係性を目指していきます。当社もこれまで以上に上栄会の皆さまのご協力をいただきながら、第2次中計で掲げた「あなたの街を もっと住みたい街に ~Make U Happy~」を実現するとともに、その先のさらなる飛躍に向けて邁進していきたいと思います。

(了)

【聞き手:永上 隼人/文・構成:坂田 憲治】

上栄会との情報共有に建設DXを活用

取締役 DX推進本部長 兼 BIM推進室長 兼 デジタル推進課長 上村祐輝 氏    現場では現在、施工管理アプリ「ANDPAD(アンドパッド)」というクラウドベースのプラットフォームの活用を進めているところです。このANDPADの活用は、もともと22年までは当社の業務を中心に取り組んでいたものなのですが、23年からは本格的に上栄会の職方さんと連携した取り組みを行っています。

 たとえば、これまではメールで図面のやり取りなどを行っていましたが、取引先に図面が行きわたっていないなどの問題が起こったりしていました。そうした問題をなくし、現場関係者が常に最新図面や最新BIMモデルを閲覧できる体制を整えることで、現場全体での効率化につなげようとしています。24年からは、上栄会を中心に番頭さんや職長さんなどの現場関係者へのヒアリングを重ねながら現場検証を実施し、さらなる生産性の向上につなげていきたいと思います。

取締役 DX推進本部長 兼
BIM推進室長 兼 デジタル推進課長
上村 祐輝 氏


<プロフィール>
上村 英輔
(うえむら・えいすけ)
1981年12月、福岡市出身。芝浦工業大学システム工学部を卒業後、2005年4月に(株)穴吹工務店に入社し、現場監督を務める。08年4月に(株)福岡銀行へ入行。16年1月に上村建設(株)に入社。常務取締役・社長室長を経て、19年7月に代表取締役社長に就任した。


<COMPANY INFORMATION>
代 表:上村 英輔
所在地:福岡市博多区住吉4-3-2
    博多エイトビル7F
設 立:1959年2月
資本金:1億円
URL:https://www.e-uemura.jp(上村建設)
URL:https://www.uemuragroup.jp
    (ウエムラグループ)

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