違法・辺野古新基地!沖縄県知事、埋め立て承認取り消し
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沖縄県名護市辺野古に建設が計画されている米軍新基地をめぐって、沖縄県の翁長雄志知事が10月13日、辺野古崎・大浦湾の公有水面埋め立て承認を取り消し、辺野古新基地建設は「違法」状態となった。新基地計画は、普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の代替施設として日米両政府が建設を計画しているものだ。
新局面~辺野古新基地、法的根拠失う
翁長知事は、仲井真弘多・前知事の埋め立て承認を第三者委員会が検証した結果、法律的な瑕疵(欠陥)があると県が判断したと表明した。
米軍基地をめぐって法的根拠を失うのは初めてではない。沖縄米軍基地は、強制接収という不法状態を「合法的な衣」で隠す繰り返しだった。もともと米軍が不法に強制接収して形成され、合法性を後付けしてきたため、たびたび基地提供の法的根拠を失う事態が生じてきた。
1回目は、沖縄の復帰に伴い米軍用地の提供を反戦地主が拒否したのに対し、強制的に土地を継続使用できるようにした「公用地暫定使用法」の期限が切れた1977年、「空白の4日間」だ。2回目は、「象のオリ」と呼ばれた楚辺通信施設(読谷村)の使用契約の更新を拒否した1996年4月1日以降、1年余りに及んだ「不法占拠」だ。法廷闘争の限界~国、不服審査と効力停止申立て
辺野古埋め立ての法的根拠がなくなったが、国の巻き返しは早い。翌14日、沖縄防衛局は、行政不服審査法に基づく不服審査請求と、採決が出るまで取り消しの効力停止を求める申し立てを国土交通相に提出した。
不服審査請求は、本来、行政の処分への不服を国民が請求するもので、沖縄防衛局の審査請求が適法かどうか疑義があるが、政府内部の省庁同士の審査であるため、今回の埋め立て承認取り消しの効力が停止されるのは目に見えている。効力が停止されれば、防衛局の作業が再開され、その後、本体工事に着手できる。
沖縄県は、対抗手段として、効力停止の取り消しを求めて提訴し、法廷闘争に入る見込みだ。沖縄県知事と政府の法廷闘争には、1995年、大田昌秀知事(当時)の米軍用地強制使用の代理署名拒否をめぐる訴訟があったが、裁判所は政府に軍配を上げた。法廷闘争には、限界がある。知事決断の意義~抑止力議論のチャンス
それでも翁長知事が「新辺野古基地は造れないだろうと私は思っています」と述べるのは、政府の対応が弥縫策(びほうさく)であり、理不尽極まるからだ。
「(普天間基地はじめ米軍基地はすべて)強制接収されたわけで、沖縄県民自ら差し出した基地は1つもありません。普天間の危険性除去をするときに、辺野古に移すということは、自分で土地を奪っておきながら、代わりのものを沖縄に差し出せというような、理不尽な話が通るか」と述べ、「辺野古が唯一の解決策」という政府の対応を批判した。
記者会見の最後には、「これから節目節目でいろんなことが起きると思いますので、事の本質が県民にもご理解いただけると思いますし、国民の皆さんあるいは世界の方々にご理解いただける」と語った。
事の本質というのは、米軍基地の形成の歴史や過重負担、自己決定権など多方面にわたるが、今、国民的議論が必要なのは、抑止力にとっても米海兵隊の沖縄駐留の必要性がないことだ。それが知られると、辺野古移設の前提が崩れる。今回の翁長知事の決断の最大の意義は、事の本質が日本国民全体で議論され、理解されるチャンスと時間をつくったことだ。
【山本 弘之】
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