補助金献金天下りの悪徳三角形
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NetIB-NEWSでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は「庶民負担を激増させている消費増税の一方で、補助金の肥大化が大きな問題だ」と主張する3月12日付の記事を紹介する。
スギ花粉の飛散が本格化して大変つらい。多数の国民が花粉症に苦しんでおり、抜本的対策が求められる。
民間宇宙事業会社スペースワンのロケット発射が失敗した。ロケット開発に失敗はつきもの。失敗を糧に次の成功を目指すべきだとの論評が流布される。これらの事業を民間の力だけで実施しているならその通りだ。
しかし、そうでない。民間事業会社のロケット発射だが政府の補助金が投下されている。そうなると、「失敗はつきもの」「次の成功を目指せばよい」とだけ言ってはいられなくなる。
これが日本財政の根本問題。日本国民は財政の中身に関心をもたない。政府が財政危機を叫ぶと鵜吞みにしてしまう。財政危機だから国民に税金の負担増加をお願いしなければならない。こういわれると素直に応じてしまう人が多い。
第2次安倍内閣が発足したのは2012年12月。この安倍内閣が消費税率を二度引き上げ、税率は5%から10%へと倍になった。巨大増税が実行された。税率引き上げは2014年4月と2019年10月に実施された。消費税が導入されたのは1989年度のこと。1989年度から2023年度までに消費税で国民は約510兆円を徴収された。
しかし、この期間に個人の所得税・住民税負担が290兆円、法人の法人税、法人住民税などが320兆円も軽減された。庶民に過酷な増税を行い、大企業と富裕層に大規模な減税が行われた。
この事実を知る市民は極めて少ない。政府の財政支出は何に使われているのか。これが大事だ。
政府支出を大きく3つに区分できる。
第一は、社会保障支出。医療費、年金、介護の費用が政府から支払われる。その財源の中心は保険料収入だ。国民が支払う健康保険料、年金保険料、介護保険料が社会保障支出に使われる。これ以外に政府が社会保障の支出を負担する。
第二は、公務員の人件費。行政サービスを行うのは公務員だ。政府は公務員に給与などを支払う。このことによって行政サービスが実現する。
第三は、政府の補助金。さまざまな施策の実現を名目に巨大な補助金が支払われている。これ以外に、国債費の支出、政府が行う投資事業(公共事業等)の支払いがある。
近年の財政運営の特徴は、第一の社会保障支出を切り刻む一方で、第三の補助金を拡大するものになっている。
財政運営の在り方として、これでよいのかを考える必要がある。これが最大の論点だ。
財務省は国の財政支出を総括した数値を公表している。「一般会計・特別会計歳出純計」である。当初予算における政策支出は「社会保障と防衛費を除くと」1年間で23兆円。この23兆円のなかに、ありとあらゆる政策支出が含まれる。この本予算の運営は相対的には厳格なものといえる。ところが、この外側で巨大な財政支出が実行されている。補正予算での財政支出だ。その大半が得体の知れない「補助金」の塊なのだ。
すべての市民にあまねく行き渡る政策支出を徹底的に切り刻み、巨大な補助金を血税で注ぐことが正当であるのか。この点を徹底論議する必要がある。
※続きは3月14日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「補助金献金天下りの悪徳三角形」で。
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