2024年12月04日( 水 )

小林製薬の紅麹問題、大阪市が行政処分へ 原料提供の他社製品にも不安広がる

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52社に原料として提供

 小林製薬(株)(大阪市)の「紅麹」問題による健康被害が拡大している。同社の「紅麹」を含む機能性表示食品を摂取した人のあいだで腎疾患などの健康被害が報告されており、26日の時点で106人が入院、2人が死亡している。

 対象製品は「紅麹コレステヘルプ(15日分・20日分・30日分)」「ナイシヘルプ+コレステロール」「ナットウキナーゼさらさら粒GOLD」で、これらが使用している紅麹原料の一部に意図しない成分が含まれている可能性が判明している。

 小林製薬は22日に「紅麹関連製品の使用中止のお願いと自主回収のお知らせ」を発表し、購入者への使用中止などを呼び掛けるとともに、健康相談受付センターの連絡先を掲載している。また26日には関連の紅麹を使用する製品について、機能性表示食品の届け出を撤回することを消費者庁に対して申し出た。

 厚生労働省は26日、小林製薬に対して事情聴取を行い、紅麹を含む特定のいわゆる「健康食品」を摂取した者で健康被害が多数報告されていることに加え、2名の死亡事例が報告された、健康被害との関連性が明らかとはなっていない、との状況を確認したうえで、大阪市健康局に対して食品衛生法に基づく廃棄命令等の措置を講じるよう依頼を行った。大阪市は本日、同社に対して製品の回収を命じる行政処分を出した。

 小林製薬は問題となっている紅麹を原料として他社にも提供しており、自社製品の販売停止・回収だけで問題は収束しそうにない。同社は24日、商社や食品メーカーなど52社に対して2016年から紅麴を供給しており、内訳は自社製品での使用が約2割、それ以外の約8割を他社に原料として販売してきたことを説明した。しかし、その52社について具体名は公表していない。SNS上では、普段摂取している他社の製品に小林製薬の紅麹が使用されているのではないかとの消費者の指摘がなされており、同社には不安がさらに広まらないよう情報の開示などの対応が求められる。宝酒造のように、自社の一部製品に紅麹を使用していることや該当する製品を自主回収することなどを発表した企業も出てきている。

中国など海外も注目

 小林製薬といえば、インバウンドでも大きな成功を収めている製薬企業の代表例の1つだ。たとえば中国では日本で購入すべき「12の神薬」に「熱さまシート」「サカムケア」「命の母A」「アンメルツヨコヨコ」「ニノキュア」と最多の5つが含まれており(異なるリストも存在)、中国のポータルサイトでもトレンドワードの1つとなっている。「紅麹コレステヘルプ」は中国でも販売されているが、同社は中国でもお詫びを公表するとともに、販売を停止し、自主回収を始めている。

 小林製薬は15日に中国安徽省に有している子会社の新工場の竣工式を開催し、4月中旬から稼働予定としていたところだった。同工場で生産する製品は「冷却シート、カイロ、芳香剤等」と今回問題となっている製品は含まれていないようだが、逆風下での稼働開始となりそうだ。

【茅野 雅弘】

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