ビットコインETFへの本格的な資金流入はこれから(前)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏根強いビットコインへの懐疑的な視線
ビットコインに対する懐疑的な視線はいまだ根強いようだ。筆者の知り合いにも「ビットコインは今後上昇すると思うが、投資するのは少し気が引ける」と言う人がいた。おそらくビットコインの激しい価格変動から来る否定的なイメージがあるからだろう。しかし、ビットコインは発展途上の資産ではあるものの、今後デジタル資産のなかで大きな比重を占めていくことになるものと思われる。
ビットコインはデジタル時代にぴったりの資産で、同程度のメリットをもっている資産は少ない。それに、現物ETFが承認されたことにより、新たな投資への扉が開かれ、資産運用会社やヘッジファンド、一般投資家がこのアセットに大きな資金を投じるきっかけとなった。
ビットコインは1日24時間いつでも売買ができるし、世界中の人に簡単に送金できるなど、数多くのメリットがある。一方で、株の取引は1日の値動きに上限が設定されている反面、ビットコインは、1日当たりの値動きに上限がないので、価格変動性が大きく、リスクが高いという側面がある。それでも、今回の現物ETFの承認は、結果的にビットコイン市場に多大な資金流入がもたらされ、価格上昇と関心の増大を引き起こしている。
韓国最大手の仮想通貨交換所であるアップビット(Upbit)の1日のアクティブユーザー数は218万5,453名となり、年初(約148万名)に比べて47%も急増している。なお、同社の1日の取引高は約13兆8,700億ウォン(約1兆5,000億円)と市場は活況を呈している。
資金流入による価格高騰
ビットコインETFは、機関投資家などがビットコインに投資する新たな道を開いた。米国ETF市場は7.5兆ドル超(2023年7月時点)という巨大な市場を形成しているが、ビットコインETFも、証券取引所で取引されるETFの一種として、ビットコインの価格動向に投資するETFである。ビットコインETFは、ビットコインを自分で直接購入・保管する代わりに、証券口座を通じて投資をするため、投資家がより気軽にビットコインにアクセスできるのが特徴だ。ETFでビットコインへの投資が増え、ビットコインの価格は2月だけで70%近く上昇している。
一方、グレースケール・ビットコイン・トラスト(GCBT)は3月25日~27日に計8億6,220万ドルが流出。ビットコインの値上がりにも関わらず流出が続いた。GCBTの資金流出は今後も続くことが予想される。なぜかというと、グレースケールETFの手数料が高すぎるからだ。グレースケールETFの年間手数料は2%で、今回1.5%に下げたものの、ブラックロックの0.25%に比べると、手数料が高い。
世界4大資産運用会社といえば、ブラックロック(運用資産10兆ドル)、バンガード(運用資産8兆6,000億ドル)、フィデリティ(運用資産4兆4,000億ドル)、ステート・ストリート(運用資産3兆7,000億ドル)だが、ブラックロックとフィデリティはビットコインに友好的である反面、バンガードとステート・ストリートは仮想通貨に懐疑的である。ブラックロックは2カ月間ビットコイン約20万個を購入した反面、バンガードはビットコインETFを販売していない。今後、この判断が市場にどのような結果をもたらすか、業界では注目が集まっている。
(つづく)
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