2024年11月24日( 日 )

福岡市のアンタッチャブル? 家庭ごみ収集、特命随契改善進まず

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事実上の白紙状態

gomi 全国的にも珍しい夜間に収集を行う方式で、利便性が高いと言われる福岡市の家庭ごみ収集。市民の暮らしにとっては便利な一方、競争性のない随意契約によって特定の業者が独占していることに疑問の声があがっている。10月8日に行われた福岡市議会 平成26年度決算特別委員会では、家庭ごみ収集運搬業務への競争性の導入について、全体的に進展が見込めない状況にあることが明らかになった。

 2014年1月30日、福岡市のすべての随意契約について点検を行った外部有識者6名(委員長:森淳二朗 九州大学名誉教授)で構成された公正入札監視委員会は、『随意契約総点検に係る意見書』のなかで、家庭ごみの収集運搬業務について、競争性のある契約手続に移行することを前提に14年度中を目途に検討を行い、その結果を公表するように市に求めていた。

 決算特別委員会の総会質疑において、高山博光市議(維新の会)は移行状況を市側に確認した。市環境局長は、家庭ごみのうち粗大ごみに関して、競争性のある契約手続への移行を2016年度からモデル的に実施し、18年度から段階的に移行していくと回答。しかし、粗大ごみの収集量は全体の7%弱(高山市議)に過ぎず、また、粗大ごみは注文収集方式であり、可燃、不燃、びん・ペットボトルの夜間戸別収集方式とは異なる。家庭ごみの大部分の収集については、競争性のある契約手続への移行は事実上の白紙であった。

 環境局長は、「市民から高い支持を受けている夜間戸別収集は絶対に崩してはならない」としたうえで、「最終的にはその部分(粗大ごみ以外の家庭ごみ)に行くことも検討してまいりたい」とした。高山市議は、可燃性ごみの収集の一部を委託されている市の外郭団体・公益財団法人 ふくおか環境財団で検証を行うことを提案した。

ごみ収集を牛耳る企業集団

 家庭ごみのうち、可燃性ごみを収集する民間の業者は、環境局所管の廃棄物処理行政について監査を行った02年度の包括外部監査結果報告書によると、(有)東和工業、(有)上野組、(有)岩本商会、(有)森山組、(株)香住産業、(有)大楠組、(株)川鍋組、(株)林商会、(株)西日本公栄産業、(株)石橋商会、(有)山広商会、(有)広栄商会、(有)森山商会の13社。8日の総会質疑で環境局長は、14年度の決算における13社の平均は、純利益1,900万円、現預金3億2,100万円、純資産6億2,100万円、社員44人、車両12台と説明した。

 1967年、この13社が出資するかたちで、現在、焼却灰の運搬と埋立管理を行う大成管理開発(株)(本社:福岡市中央区)が設立された。さらに71年には、同じ13社の出資で、不燃性ごみの収集運搬業務を行う福岡環境整備(株)(本社:福岡市博多区)が設立され、74年から粗大ごみの収集業務も受託している。また、93年には、福岡環境整備と浄化槽清掃業者3社の出資で(株)エフ・ケイ・ケイ(本社:福岡市西区)が設立され、不燃性ごみと粗大ごみの収集を受託している。

 環境局によると、14年度に委託した業務の金額は、福岡環境整備 約17億4,000万円、大成管理開発 約5億1,100万円、エフ・ケイ・ケイ 約2億4,300万円、ふくおか環境財団 約1億100万円という。また、市外郭団体以外の3社の財務状況について、当初、「出資者の同意が得られないため非公開」(環境局長)としていたが、高山市議の「福岡環境整備は14年3月末現在、負債1.7億円に対して利益剰余金が約45億円の超優良企業だ。間違いないか」との問いに、「間違いありません」と認めた。

 家庭ごみの夜間戸別収集は、福岡市が「住みやすい」との評価を受ける一因とも考えられる。ただし、前出の包括外部監査では他都市に比べて収集運搬業務の委託料が高いことも指摘されており、より利便性を高めるためには、競争性の導入はあって然るべきだろう。

【山下 康太】

 

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