暗号資産の次のトレンド「現物資産トークン」(前)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏注目を集める現物資産トークン
多くの暗号資産の価格が上昇したなか、世界最大の資産運用会社であるブラックロックは現物資産トークン(Real World Assetトークン:RWAトークン)発行と関連してセキュリタイズ社と共同でトークン化ファンドを組成すると発表、現物資産トークンにますます関心が高まっている。ビットコインの現物ETFが承認されたことで、機関投資家の暗号資産への投資の道が開かれ、暗号資産市場に機関投資家の莫大な資金が流入し始めている。
現物ETFの次のステップは、世界で800兆ドルの規模を誇る現物資産をブロックチェーン技術の活用により、トークン化することである。ブラックロックは金融取引をより早く、より安く、より透明性を高めることを目指しており、先月19日に米証券取引委員会(SEC)にファンド組成のための申請を行っている。
このような流れを受け、韓国の暗号資産取引所では現物資産コインの1つである「Polymesh(POLYX)」の1日の取引高がビットコインの取引高を上回り、市場関係者を驚かせている。価格も前の週に比べ、200%以上の高騰を記録し、現物資産コインへの関心の高さを示すこととなった。
資産のトークン化とは
暗号資産の世界で「RWA」という言葉をよく耳にするようになった。RWAとは、株式や債券、不動産、コモディティなどの現実資産をトークン化して、ブロックチェーン上で取引・管理できるようにする新しいトレンドである。
資産のトークン化の一番身近な事例は、おそらくステーブルコインだろう。ステーブルコインの形態にはさまざまなものがあるが、一般的には米ドルを預かり、それを担保にトークンを発行するものだ。
米ドル連動型ステーブルコインの時価総額は、現在約1,500億ドルで、トークン化に成功した事例として挙げることができる。テザー(Tether)やサークル(Circle)といった組織はUSDTやUSDCと言ったステーブルコインを発行し、現実世界と暗号世界をつなぐ重要な架け橋となっている。ドルでステーブルコインを購入し、ブロックチェーン上でビットコインなどを購入する。ステーブルコイン以外にもその後、アート作品や骨董品などをブロックチェーン上でトークン化したNFTもあった。そして次の試みである現物資産のトークン化に金融業界の注目が集まっている。
RWAトークンはブロックチェーン技術を活用して現物資産と連動した証券型トークン(STO)と類似している。2つの違いをあえていうならば、RWAがSTOよりもっと大きい概念であるということである。
暗号資産業界ではSTOは証券に該当し、金融当局の規制対象となるが、RWAは資産をトークン化しただけで証券ではないため規制はなく、分散型金融(DeFi)への活用が期待されている。
現在ステーブルコイン以外にもトークン化の事例は増えている。分散型金融の市場が一時的に冷え込んでいた際に、国債トークンとMMFトークンが分散型金融の代わりに暗号資産投資家から人気を集めていた。金利が高い時期は投資家がわざわざリスクをとって分散型金融(DeFi)サービスを利用する必要がなく、従来の金融市場においても比較的安全とされる資産で運用したいと考えるためだ。
資産のトークン化は、時代のトレンドでもあり、2030年までに数兆ドルの現物資産がトークン化されると予測されている。現物資産のトークン化は金融資産を暗号資産業界に持ち込む効果もあり、暗号資産業界の活性化につながると予測されている。
(つづく)
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