2024年12月30日( 月 )

静岡県知事選、旧民主系推薦の鈴木氏が初当選~岸田政権に打撃

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 川勝平太前知事の辞職にともなう静岡県知事選は26日投開票され、無所属の新人で前浜松市長・鈴木康友氏=立憲民主、国民民主推薦=が、同じく無所属新人で元県副知事の大村慎一氏=自民推薦=らを破り、初当選した。投票率は52.47%で、前回を0.46ポイント下回った。

 6人が立候補し15年ぶりの新人同士の争いとなったが、事実上の与野党対決の構図で、野党系が支持した候補が勝利した。これにより政権交代への流れが生まれる可能性が出てきた。

 鈴木氏は慶應義塾大学法学部を卒業後、松下政経塾に第1期生として入塾。卒塾後は会社経営、政治団体役員などを経て、2000年の衆院選に静岡8区から立候補し、2期務めた後、07年の浜松市長選挙で初当選し、4期務めた。

 松下政経塾出身ということもあり、旧民主党の政経塾OBの松原仁議員(元立憲・無所属)なども応援に駆け付けたほか、自民党系の浜松市議の一部も鈴木氏を支援した。

 一方、自民党が推薦した元副知事の大村氏が敗れたことで、岸田政権にとっては衆議院3補欠選挙での敗北に続く痛手となる。支持率低迷が続く岸田文雄首相では次の選挙は戦えないと党内から「岸田おろし」の声が出てくる可能性もある。

 菅義偉政権時代の再来と指摘する声もある。21年4月に衆議院北海道2区で自民党は不戦敗、参議院長野選挙区と河井案里氏の当選無効で再選挙となった同広島選挙区でも敗北した。同年8月に菅氏の地元・横浜市長選では、菅氏が支援した小此木八郎元国家公安委員長が落選し、自民党内から「菅おろし」の声が公然と起こった。

 元総務官僚で、静岡県副知事も務めた大村氏には、静岡市長など主に県中東部の首長の多くが支援に回り、開票が早く進んだ県東部地域は、大村氏のほうが優勢に立っていた。元浜松市長・鈴木氏に、県東部の住民の反応は必ずしも芳しいとはいえず、最終盤で先行する鈴木氏に大村氏が猛追し、逆転の可能性もあった。

 知事選に勝利したものの、さまざまな課題がある。JR東海のリニア中央新幹線静岡工区の問題が気になるところだ。川勝前知事は県内を流れる大井川の水量減少や自然環境への影響を懸念して着工を認めてこなかった。鈴木氏は、川勝県政の後継者ではあるが、リニア中央新幹線については推進の立場を掲げており、静岡工区の工事が進むのか、注目される。また、中部電力(株)の浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の再稼働についても、知事として判断が迫られるだろう。

 今国会は6月23日に会期末を迎えるが、岸田首相による衆議院解散が封じられ、9月の自民党総裁選の再選がシナリオ通りにいかない事態もあり得る。

【近藤 将勝】

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