福電協が慢性的人手不足の解消支援へ(前)
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福岡電気工事業協同組合
福岡都市圏を中心に12の支部を構え、組合員の繁栄と組合組織の発展に積極果敢に挑む福岡電気工事業協同組合(以下、福電協)。福電協では福岡県電気工事業工業組合や全九州電気工事業協会、全日本電気工事業工業組合連合会と密接な連携を図り、電気工事業に関する教育や指導のほか、情報・資料の収集および提供などをきめ細かに行っている。福電協の理事長を務める堀内重夫氏((株)堀内電気・代表取締役)に、喫緊の課題である人材不足への対応、そして組合の現在について聞いた。
課題解決に寄せられる期待
さまざまな業界が多くの課題を抱え喘いでいるが、とくに円安などの影響を受けた資材価格高騰の波は、電気工事業界を強烈に締め上げている。たとえば工事に欠かせない電線などは、ここ2年で約3倍まで高騰した。また、とくに近年は、後継者不在などによりやむを得ず廃業の道を選択する組合員が増加しているという。事業承継の受け皿づくりや、若年事業者の組合加入の促進、そして慢性的な人手不足を解消していくことは、組合にとって大きな課題だ。こうした逆風下の状況をいかに打破していくか、福電協の理事長である堀内氏の手腕には大きな期待が寄せられている。
「資材に限らず多くの物価の高騰が、組合員の経営を圧迫しています。運送業界に始まるコスト高問題も業界全体に影響することは避けられない状況です。そうした状況下で、まずは我々が組合員を先導し、強力に支援していくことが欠かせません。その1つとして、組合の魅力を積極的に発信していくことが肝心です」(堀内氏)という。
女性部会設立に象徴される、新しい取り組み
堀内氏が理事長に就任したのは2021年5月だが、コロナ禍の真っ只中の時期に白羽の矢が立ったのは、同氏に対する組合員らの信頼が厚かったことの証左だろう。
「就任当初は、各種の会合をオンライン形式で行わざるを得ないなど、何もかもが停滞していました。満足な状態で集まることもできないなか、どうやって組合活動を進めていくか。新理事長として悩ましい限りでしたが、コロナ禍もようやく終息を迎え、いよいよ本格的な活動をスタートできる状況になったところです」(堀内氏)。
全国各地の電気工事組合では女性部を設立するところが徐々に増え、女性同士の交流や、技術の向上、働き方改革の支援などを行っているという。そこで同組合においても昨年から女性部会を設置し、「女性にはできないこと」ではなく、「女性だからできること」をテーマに、建設業界全体に向けた発信を開始した。福岡支部では8名の女性スタッフをメンバーとし、新しい取り組みを始めている。
たとえば、電設資材卸の(株)カンサイが毎年開催するカンサイフェアでは、最新の商品紹介や特価販売などが行われるほか、今年は作業着のファッションショーも行われるが、これもそうした動きの延長線上で生まれた話だという。業界の魅力を訴求するだけでなく、業界全体が女性の活躍に期待していることをアピールしようというものだ。
また、若者へのアプローチとして続けているものには、福岡市東区の香椎工業高校での出前授業がある。高校生に業界の魅力を伝えるため、組合員の協力で10年近く継続しているもので、電気科の生徒に「大型バケット車の乗車体験」「防犯灯点検作業」「電柱建設作業見学」「屋内配線作業体験」などを提供している。さらに堀内氏は、「高校生といわず、さらなる若年層に向けてもこうした機会をつくっていきたい」といい、小さな子どもたちを対象とした催しも行う。福岡市とWeLove天神協議会との共催で開催する小学生向けの夏休みワーク体験会がそれだ。加えて、先のカンサイフェアでは、子ども向けの電気体験の授業も実施。「こうした活動を通して将来は電気屋さんになりたいという夢をもった若者が、1人でも多くこの業界に飛び込んできてくれればと願っています」(堀内氏)。
実は堀内氏自身、電気工事に携わる父親の姿を見てこの業界に飛び込んだといい、こうした活動が大いなる成果を生み出すことは身をもって実感している。しかし、キッザニア感覚で彼ら彼女らの心を惹きつけていこうという発想は面白い。
福岡県工組とのパイプ役を担う
現在の組合員数は370社だが、堀内氏は任期中に500社まで増やすのが目標だと語る。「組合には、諸先輩方が築いてこられた多くの資産があり、資金面の不安はありません。しかし、組合員が少なくてお金があるのが良いか、組合員は多いがお金がないのが良いかを考えた場合、私は絶対に後者だと思っています。まずは積極的投資をして組合員を増やし、その結果として組合を強靭なものにしていこうと考えています」(堀内氏)。
福電協の上部団体として、福岡県電気工事業工業組合(以下、福岡県工組)がある。1958年、全国に先駆けて誕生した福岡県工組は、組織関係や上部団体との連携を所管する「特別委員会」、機関誌発行や組合運営を行う「総務委員会」、共同保守管理業務や電気設備保守などを所管する「管理委員会」、技術研修・技能競技大会や研修会・講演会などを所管する「事業委員会」、竣工調査・定期調査業務を所管する「調査業務」、50歳以下の組合員で構成される「青年部」などを擁している。福岡県工組の副理事長でもある堀内氏は、福電協と福岡県工組をつなぐパイプ役を担うことで、福岡県工組の知見や情報などを福電協にももたらしていきたい考えだ。
(つづく)
【天野祐次】
<INFORMATION>
代表理事:堀内重夫
所在地 :福岡市中央区渡辺通3-2-10
TEL :092-761-6203
FAX :092-781-5207
URL :https://www.fukuden-k.or.jp
設 立 :1947年4月
<プロフィール>
堀内重夫(ほりうち・しげお)
1958年12月、福岡県大野城市出身。筑紫工業高等学校(現・筑紫台高等学校)を卒業後、地元の電気工事会社に就職。86年に堀内電気工事店を創業。97年に(株)堀内電気として法人化。2017年に福岡電気工事業協同組合副理事長、そして21年には同理事長に就任。福岡県電気工事業工業組合の副理事長も務める。趣味は釣りとゴルフ。月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?
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