福電協が慢性的人手不足の解消支援へ(後)
-
福岡電気工事業協同組合
福岡都市圏を中心に12の支部を構え、組合員の繁栄と組合組織の発展に積極果敢に挑む福岡電気工事業協同組合(以下、福電協)。福電協では福岡県電気工事業工業組合や全九州電気工事業協会、全日本電気工事業工業組合連合会と密接な連携を図り、電気工事業に関する教育や指導のほか、情報・資料の収集および提供などをきめ細かに行っている。福電協の理事長を務める堀内重夫氏((株)堀内電気・代表取締役)に、喫緊の課題である人材不足への対応、そして組合の現在について聞いた。
「職人」ではなく「技術者」
高い意識と向上心の表れ福電協では、電気工事業に関する指導・教育、電気工事業に関する情報、資料の提供、そして電気工事業に関する調査研究のほか、電気工作物の保守管理業務の共同受託を行う。また、九州電力送配電(株)からの委託を受けて、顧客宅を訪問し電気設備の安全調査を行う「福岡県電気安全サービス」といった事業も手がける。
指導・教育では第一種電気工事士と第二種電気工事士試験に向けた学科・実技講習がある。また、高さ5m超える場所での作業に関しては、19年に建設業法が改正されフルハーネスの着用が義務付けられたが、この際は「フルハーネス型墜落制止用器具特別教育」の講座を開催。このほかにも組合員の技術向上支援として各種の勉強会を開催しているが、こうした取り組みについて堀内氏は、今後さらに活発化していきたいと語る。
太陽光発電やEV充電設備などの新たな電気設備の登場とともに、絶えず技術の研鑽や知識のアップデートを求められる電気工事業は、電気工事士法と電気工事業法という2つの法律が絡む唯一の業務であり、求められる国家資格の数は多い。業界では自らを「職人」ではなく「技術者」と呼ぶが、その理由はここにある。高い意識と向上心に支えられた技術の向上が、すなわち業務の質のアップ、収益アップにつながるから、組合も全力で応えていこうというわけだ。
福岡県工組、全九電協、全日電工連へと意見を
全国的な取り組みとしては、技術者の資質および能力向上や、電気工事業界全体の意識向上を図ることを目的にした「電気工事技能競技全国大会」がある。上部団体である全日本電気工事業工業組合連合会(以下、全日電工連)が主催となり、経済産業省・国土交通省・文部科学省などの後援の下で開催される。
全国約3万社のなかから各都道府県代表とブロック推薦枠の最大58名が競う「一般の部」のほか、「女性の部」「高校生の部」の計3つの部門に分かれて2日間の日程で、技能競技などで日本一を競う。参加者や受賞者が自分の技術に自信を持つ機会とするのみならず、業界全体のレベルアップにつながっている。
「個々の事業者では難しいことでも、組合に属することで可能性は拡がります。たとえば業界の総意として陳情を行うことで、状況打破の糸口になることもあります。現在の厳しい事業環境についても、福岡県工組はもちろん、全九電協、そして全日電工連へと意見を挙げていくことで、改善の道を模索していきたいと思います」(堀内氏)。
その他にもホームページのリニューアルやメルマガ、SNSなどを積極的に活用し、建設業許可や各種資格の取得支援を実施しているという。こうした情報を発信することで、魅力的な職場環境は具現化していき、そして人手不足解消の一助になるだろう。
事業者間マッチングで、
組合員数500社を目指す「大手電機メーカーのチェーン展開に関わっている事業者は、かなりの割合で組合未加入です。こうした方々が私たちの活動を知れば、きっと仲間入りしていただけるでしょう」──と、500社の目標は決して実現できないものではないと語る堀内氏。組合員勧誘の動きと同時に、後継者不在のため仕事はあるができない、反対に人はいるが仕事がないという事業者をマッチングすることにも力を入れる。現在、会計事務所と共同でM&Aの相談会を開催するといった取り組みも進めているが、まだ認知度が低く、今後はさらにPRに力を入れていく方針だ。
渡辺通3丁目という好立地にある組合会館では、業務に直結する各種の情報提供に始まり、官公庁手続きや労災保険、雇用保険の代行、電気使用申込の代行、さらに貸会議室の提供など多岐にわたるサービスを行っている。また、会員制ホテル「湯布院倶楽部」を会員とその家族、従業員が格安で利用できることも、会員にとっては魅力的な話題だろう。
(了)
【天野祐次】
<INFORMATION>
代表理事:堀内重夫
所在地 :福岡市中央区渡辺通3-2-10
TEL :092-761-6203
FAX :092-781-5207
URL :https://www.fukuden-k.or.jp
設 立 :1947年4月
<プロフィール>
堀内重夫(ほりうち・しげお)
1958年12月、福岡県大野城市出身。筑紫工業高等学校(現・筑紫台高等学校)を卒業後、地元の電気工事会社に就職。86年に堀内電気工事店を創業。97年に(株)堀内電気として法人化。2017年に福岡電気工事業協同組合副理事長、そして21年には同理事長に就任。福岡県電気工事業工業組合の副理事長も務める。趣味は釣りとゴルフ。月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?
福岡のまちに関すること、再開発に関すること、建設・不動産業界に関することなどをテーマにオリジナル記事を執筆いただける方を募集しております。
記事の内容は、インタビュー、エリア紹介、業界の課題、統計情報の分析などです。詳しくは掲載実績をご参照ください。
企画から取材、写真撮影、執筆までできる方を募集しております。また、こちらから内容をオーダーすることもございます。報酬は1記事1万円程度から。現在、業界に身を置いている方や趣味で再開発に興味がある方なども大歓迎です。
ご応募いただける場合は、こちらまで。その際、あらかじめ執筆した記事を添付いただけるとスムーズです。不明点ございましたらお気軽にお問い合わせください。(返信にお時間いただく可能性がございます)法人名
関連キーワード
関連記事
2024年12月20日 09:452024年12月19日 13:002024年12月16日 13:002024年12月4日 12:302024年11月27日 11:302024年11月26日 15:302024年12月13日 18:30
最近の人気記事
まちかど風景
- 優良企業を集めた求人サイト
-
Premium Search 求人を探す