株主総会風雲録(2)京成電鉄の変 「オリエンタルランド株」をめぐりファンドと大乱闘(後)
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「錦の御旗」とは、鎌倉時代以降、朝敵を征討する際に官軍が用いた旗印である。転じて、自己主張を権威づけるものとして掲げる名分に使われる。株主総会を書き入れ時とするアクティビスト(物言う株主)が掲げる「錦の御旗」の決まり文句は「株主還元」。今回のテーマは、東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドの株をめぐるバトルだ。
かつての筆頭株主、
三井不動産は持ち株比率を減らした現在、OLCの株主(2024年3月31日時点の持ち株比率)は、高橋氏が「無力」と決めつけた京成電鉄が21.15%の筆頭株主。高橋氏の「不倶戴天の敵」三井不動産は6.04%の3位株主。創立メンバーである千葉県は4.03%だ。
三井不動産はOLC上場直前の1996年9月時点で、株式の38%を保有する筆頭株主だった。その後は徐々に疎遠になっていく。2000年から筆頭株主の座を京成電鉄に譲り、その後も保有比率は漸減。10年には取締役の派遣もやめ、持ち分適用会社からも外れた。
それでも、三井不動産が保有するOLC株は3月末時点で989万株に上る。「武闘派」ファンドはOLCを含む有価証券や低稼働資産の売却を原資に、1兆円規模の自己株取得を求めている。狙いは「株主還元」である。
京成はOLC株1%を売却したが、
ファンドは満足せず京成電鉄は、英投資ファンド、パリサーからOLC株の保有比率を15%未満にするよう求められている。京成は今年2月、330億円を上限とする自社株買いを発表。3月には、OLCの発行済み株式の(自己株式を除く)の1%分を売却した。
売却益710億円を24年3月期に特別利益として計上。京成の24年3月期の連結純利益は前期比3.3倍の876億円となり、8円の特別配当を実施、年間配当は39円(前期は20円)を予定する。
「株主還元」もしっかりやっていますから、これで鉾を収めてくださいというわけだ。
「武闘派」のパリサーは、それで手打ちするほどヤワではない。京成の対応は不十分だとして、持ち株比率を15%未満まで引き下げるよう株主提案した。
持ち株比率を15%未満に
引き下げる狙いパリサーが京成電鉄に求めているのはOLC株の全株売却ではなく、持ち株比率を15%未満まで引き下げるというもの。これがポイントだ。
「それは会計上の問題です。京成電鉄にとってOLCは議決権所有比率が20%以上50%以下の持ち分法適用会社。その株式は貸借対照表上で時価評価されていない。パリサーが提案するように持ち株比率を15%未満に下げれば、OLC株は時価で資産に計上されることになる。売却益なども合わせると、京成電鉄の資産は3倍以上になり、株価上昇にもつながるというわけだ」(金融関係者)
資本のねじれをいかに解消するかは京成電鉄経営陣の長年の課題だったが、これまで手をつけなかった。今回、そのねじれをつかれた格好だ。
京成電鉄の株主総会は6月27日に開催される。「武闘派」ファンドの株主提案にどのくらいの賛成を集めるかが見どころだ。
(了)
【森村和男】
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