【加藤縄文道12】「北海道が第二のウクライナの危機に」(縄文道通信第108号)(前)
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(一社)縄文道研究所
代表理事 加藤春一 氏NetIB-Newsでは、(一社)縄文道研究所の「縄文道通信」を掲載していく。
今回は第108号の記事を紹介する。6月21日に第10回縄文道塾を開催。共催の縄文アイヌ研究会主宰、澤田健一氏から「北海道を第二のウクライナにしないために」という重要な講演が行われた。
縄文道通信第107号にてお伝えしたように、昨年12月6日にNHK BSにて、篠田謙一国立民族博物館館長監修の番組で、縄文人が南方から約3万8,000年前に日本列島に渡来したことがDNA鑑定からも明らかになった。
澤田氏は4冊の著書において一貫して、縄文人は縄文アイヌ人であり、日本列島の南端の島々を経て九州へ、そして徐々に北上してきた日本人の最初の祖先であると主張している。決して北方や大陸から渡来した異民族ではないことを強調しており、筆者もこれに賛同している。
2019年5月に、国立博物館、国立遺伝学研究所、東京大学、金沢大学の共同研究グループが「アイヌが縄文人の遺伝子を70%受け継いでいる」という重大な発表を行った。
さらに20年8月に公表された、東京大学、金沢大学などによる「縄文人ゲノム解析から見えてきた東ユーラシアの人類史」の研究内容では、以下のことが述べられている。
(1)本州縄文人である愛知県伊川津貝塚出土の人骨は、アイヌのクラスターに含まれている。この結果は北海道縄文人の全ゲノム解析と一致し、アイヌ民族が日本列島の住民として最も古い系統であり、同時に東ユーラシア人の創始集団の子孫である可能性が高いことを示している。
(2)縄文人骨のゲノムは東ユーラシアのルーツともいえる古い系統であり、南ルートに属しており、北ルートの影響をほとんど受けていないと明記されている。
これらの研究結果は、縄文人(後にアイヌと呼ばれる)は南ルートの人々であり、日本の考古学者がこれまで展開してきた「アイヌは北方民族である」との主張が、科学的に否定されたことを意味する。
また、縄文道通信第107号にて述べた通り、NHK BSの番組は23年12月6日に、タイのアユ族という先住民族のDNAが縄文アイヌ人のDNAと一致していることを報じていた。この発見は、東京大学の研究グループの結果を国立科学博物館館長、篠田謙一氏が編集した番組で取り上げられている。
以上を踏まえた結論は以下の通りである。「アイヌ民族は縄文時代から北海道に住み続けている縄文日本人の末裔であり、北方民族ではなく、南方ルートの人々である。さらには大陸に進出した集団は東ユーラシア人の創始集団となった可能性が高い」とのことだ。
次に、ロシアの動きとプーチンの主張について触れたい。
ロシアで2018年12月にプーチン大統領が「アイヌ民族がロシアの先住民族に認定されるべきだ」との考えを示したと報道されている。さらに、セルゲイ・ミロノフ下院副議長は「一部の専門家の見解として、ロシアは北海道にすべての権利を有している」と発言している。
また、22年4月に政治学者のセルゲイ・チェルニヤホフスキー氏による「日本政府は、政治的にロシア領土であった北海道を不適切に保持している」との報道がある。1855年の日露和親条約におけるロシア側の主張として、「北海道にはアイヌ族が住んでいた。サハリン(樺太)やウラジオストック近郊、カムチャツカの南部に住んでいる同じ民族で、ロシア民族の1つだ」と説明されている。
プーチン大統領の2022年9月の主張は次の通りである。「ロシア世界の新たな外交方針をロシアが承認し、外国に介入してロシア系住民を支援する行為を正式に明文化している」。
さらに注目する点は、「ロシアはウクライナ侵攻前に、実は北海道に武力介入することを計画していた」ということである。
(つづく)
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