戦後民主主義の失敗
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NetIB-NEWSでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は「米国に対してモノを言う為政者は激しい攻撃を受け、排除されてきたため、日本の為政者は競うように米国への服従姿勢を示している」と論じた8月7日付の記事を紹介する。
広島、長崎への原爆投下から79年の時間が経過した。8月6日に広島市で開催された平和記念式典の後、被爆者団体の代表7名が岸田首相と面談した。
このなかで被爆者団体は「核兵器をなくそうと訴え続けてきた我が国の政府が核兵器禁止条約に背を向けている状況下で、私たち被爆者は海外に出かけて活動することに非常に気後れをして、恥ずかしい思いをしている」と述べた。そのうえで2025年3月に米国で開かれる核兵器禁止条約の第3回締約国会議に日本がオブザーバーとして参加することを求めた。
しかし、岸田首相は核兵器禁止条約締約国会議への参加について言及しなかった。そのうえで、日本政府は核兵器禁止条約と同じ目標を共有しているとし、「核実験や核兵器に使う物質そのものを禁止する具体的な取り組みを、核兵器国を巻き込みながら進めることが日本の役割だ」「核兵器のない世界に核兵器国を近づける取り組みを進め、核兵器禁止条約に努力している方々とともに核兵器のない世界に向けて、前進していきたい」と述べた。意味不明。自分が何をしゃべっているのか理解していないとしか思われない。
第二次大戦の戦勝国が核兵器を独占保有している。戦勝5大国が核兵器を独占保有し、他の国には核兵器をもたせないというのが「核拡散防止条約=NPT」であり、日本はこの条約を批准している。
これに対して核兵器禁止条約は核兵器そのものを廃棄するというもの。考え方が根本的に違う。核兵器は一国のみならず、地球を破壊し得る究極の兵器。核攻撃を受けた場合には攻撃を受けた側が報復攻撃する。攻撃を受けた側は滅亡するが、攻撃を受けた側も反対攻撃を実行して攻撃した側も滅亡する。これを相互確証破壊と呼ぶ。
核攻撃を実行すると報復攻撃により攻撃した側も滅亡する。このために攻撃が控えられることになる。これが「抑止力」の考え方。「抑止力」が働くために核戦争が起こらないというもの。しかし、相互破壊を覚悟して核攻撃に踏み切る国があれば世界は滅亡する。極めて危険な側面を併せもつ。
核攻撃を決定する責任者が正常な判断を下す保証はない。正常でない判断を下して核攻撃に踏み切れば、報復攻撃を受けて両者、ひいては地球全体が破滅するリスクが存在する。
※続きは8月7日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「株価乱高下と内外経済実体」で。
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