韓国経済ウォッチ~岐路に立つ韓国半導体産業(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
10月29日は韓国では「半導体の日」である。今年の9月までの半導体の輸出総額は470億ドルで、韓国の輸出品目のなかで半導体は一番高い比率(11.8%)を占めている。2位の自動車の輸出金額(337億ドル)と比べても133億ドルも多いので、いかに半導体産業が韓国経済にとって重要な産業であるかがよくわかる。
現在、韓国はメモリ半導体分野で、世界1位をキープしている。とくにDRAM分野では、1992年に1位になって以来、23年間首位の座を維持している。去年の半導体の輸出額は、626億4,700万ドルであった。昨年、サムスン電子とSKハイニックスは、半導体でそれぞれ40兆ウォンと17兆ウォンの売上を上げている。営業利益は、サムスン電子は8兆7,000億ウォン、SKハイニックスは5兆1,000億ウォンを記録した。2社のDRAM分野の世界市場占有率は67.8%と、世界シェアの約3分の2を占めており、絶対的な地位を築いている。
それでは、「半導体の日」をきっかけに、韓国の半導体産業の歩みを簡単に振り返ってみよう。
韓国で半導体産業がスタートしたのは、1968年まで遡る。半導体事業を韓国で最初に開始したのは亜南(アナム)産業で、その当時は米国から半導体の部品を輸入して、組み立てるだけであった。
その後、ウェハーから組み立てまで、すべての工程を行うようになったのは、74年に設立された韓国半導体という会社が最初である。しかし、韓国半導体という会社は韓国の半導体産業の発展に多大な貢献をしたが、経営難に陥り、サムスンに吸収合併され、78年3月にサムスン半導体と社名が変更された。企業を買収することで、半導体事業に参入するようになったサムスングループの創業者である李柄喆前会長は、半導体産業を本格育成していくことを83年に宣言する。その結果、グループの積極的な支援の下、不毛地帯であった韓国の半導体産業は本格的に動き始める。その成果はさっそく現れ、83年に世界で3番目にサムスン半導体は64KDRAMの開発に成功する。これに自信をつけ、その後もさらに技術開発を重ねたサムスンは、92年には世界初の64メガDRAMの開発に成功する。その後も躍進を続けて、今日に至っている。
DRAMだけでなく、もう1つの大事なメモリ製品であるNANDフラッシュメモリ市場でも、韓国企業は奮闘している。サムスン電子は、2位の東芝とは10%以上の開きがあるし、SKハイニックスも15.1%の市場占有率を示している。
また、韓国企業が比較的競争力がないとされている分野であるシステム半導体分野でも、最近、成果が出始めている。アップルのiPhone6sの頭脳にあたるモバイルアプリケーションプロセッサー(AP)をサムスンが供給するようになったし、クァルコム、シスコなどの製造受託も引き受けるようになった。
自動車産業において未来の重要技術の1つである自動運転システムに必要なセンサーなどでも、サムスン電子は2位になっており、1位のソニーを追っかけている。
最先端の3次元NANDフラッシュもサムスン電子は量産に入って2年目を迎えているが、他社はまだ量産できていない。ハードディスクドライバブ(HDD)の代替として急速に需要が伸びているSSD(Solid State Drive)市場でも、サムスン電子はシェア50%を握っている。(つづく)
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