2024年08月26日( 月 )

魚食普及のためのビジネスモデル構築で、水産業界のさらなる発展を目指す

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
法人情報へ

(株)アキラホールディングス

 1918(大正7)年に創業し、「薄利多売」で業績を伸ばし続け、仲卸業界でトップの地位を築き上げた老舗企業・(株)アキラ水産。鮮魚を取り巻く市場環境や法制が変わるなか、(株)アキラホールディングスを設立し、グループ体制を強化してきた同社は、魚食普及や水産業界の発展に寄与するため、さまざまな挑戦を続けている。

福岡鮮魚市場で取扱量トップを誇る老舗

安部泰宏代表
安部泰宏代表

    (株)アキラホールディングスは、福岡市中央卸売市場の鮮魚市場で仲買を営む(株)アキラ水産を中心に、鮮魚介類の仲買や加工、販売を行う海産物のエキスパートグループ。2020年1月にホールディングス制へと移行した同社のグループ企業には、仲卸の(株)コウトク水産、(株)安部水産、(株)一心(いっしん)のほか、加工・通販の(株)アキラ・トータルプランニング、海産物直販を担う(株)四季海鱻(しきかいせん)が名を連ねる。

 同社では、近年減り続ける魚食の再復興を目指し、全国のみならず世界の台所と食卓に新鮮で美味しい魚を届けるため、さまざまな取り組みを行っている。

 21年8月には、輸出実績の豊富な豊洲市場仲卸の(株)築地太田と日本最大の総合物流企業である日本通運(株)の2社と連携し、輸出プラットフォーム「グローカル・フード・マーケット・コンソーシアム」の構築を図り、国内水産品を「ジャパンブランド鮮魚」として輸出し販路の拡大を目指すプロジェクトを開始した。また同年9月には、福岡市中央卸売市場鮮魚市場では初となる食品安全マネジメント規格のISO(国際標準化機構)22000認証を鮮魚の仲卸業を行うグループ5社が取得するなど、品質および食品安全管理体制の強化にも注力している。

川端商店街に直営店をオープン

鯛茶漬け「アキラの鯛茶」
鯛茶漬け「アキラの鯛茶」

 同社は「“魚離れ”を解決すべく、よりお客さまの近くで魚の美味しさを伝えたい」という安部泰宏代表の想いから、近年もさまざまな取り組みにチャレンジしている。

 人気商品である天然真鯛の鯛茶漬け「アキラの鯛茶」をはじめとした商品をオンラインショップのみで販売していたが、23年7月に寿司や加工食品、ギフト商品などを販売する直営店「アキラ水産」を川端商店街に出店した。

川端商店街に寿司や加工食品などを販売する「アキラ水産」を2023年7月に出店
川端商店街に寿司や加工食品などを販売する
「アキラ水産」を2023年7月に出店

    同店舗には全17席のイートインスペースを設置。イートイン専用に、新たに開発された「天然真鯛鯛茶漬け」をはじめ、「海鮮丼」や「握り寿司」などを仲卸直営だからこそできるリーズナブルな価格で気軽に新鮮な魚を味わうことができる。「この値段でこんなに美味しい海鮮が食べられたことに感動した」というインバウンド客も多く、好評のようだ。

魚食の可能性を幅広く発信

骨もまるごと食べられる「フィッシュメンチカツ」
骨もまるごと食べられる
「フィッシュメンチカツ」

    さらに多くの人に魚の魅力を知ってもらうため、23年4月から5月にかけて、(一社)海と日本プロジェクトinふくおかとコラボを実施。真鯛の現状や未利用部位まで丸ごと食べる工夫など、真鯛に関するさまざまなイベントの開催やYouTubeでの情報発信を行った。同年7月にはコラボ商品「フィッシュメンチカツ」の販売を開始した。

 同商品は玄界灘の天然真鯛の未利用部位を使用しているのが最大の特徴だ。中骨などの一般的には食べられる機会の少ない部位を、細かくミンチにしてメンチカツに使用することで廃棄する部分を減らし、食品ロスにつなげている。また、骨までまるごと使用しているため、カルシウムなどの栄養を美味しくとることで人々の健康につながっている。さらに天然真鯛を余すことなく活用できるので、漁師たちの安定収入にも結びつくため、まさに“三方よし”の取り組みだといえるだろう。

顧客第一主義と組織力で水産業界の未来を照らす

 漁獲高の減少や若者の魚離れなど、水産業界を取り巻く環境は変化を続けている。そんななかで同社は「顧客第一主義」を掲げ、常に顧客の目線を意識し、どうすれば魚をもっと食べてもらえるかを探求し、工夫と挑戦を続けている。

 そのバックボーンには、総合仲卸事業にとどまらず、冷凍・塩干物事業、加工・通販事業、直販事業と業務が多岐にわたっていることがアキラホールディングの強みになっている。漁獲量によって不安定になりがちな水産業界にあっても安定経営を可能にしているのは、こうした組織力がなせるわざなのだろう。

 そのほかにも安部代表は福岡魚食普及推進協議会の前会長として、長浜鮮魚市場の「市民感謝デー」の実施にこぎ着けるなど、魚食文化の普及にも貢献している。今年で開催150回を超え、市民の間では「なくてはならないイベント」として認知されている。

 “魚”に関わるすべての人々へ幸福を届けるべく、多様な取り組みを行う同社の魚食普及への熱は、今後も水産業界の発展のみならず未来の食卓を豊かにし、人々の健康を支え続けていく。


<COMPANY INFORMATION>
代 表:安部泰宏
所在地:福岡市中央区長浜3-11-3-701
設 立:2020年1月
資本金:4,850万円
TEL:092-711-6601
URL:https://www.akirasuisan.co.jp

関連キーワード

関連記事