2024年08月29日( 木 )

オーダーメイドにも対応する総合ハウスメーカー 事業の成長と住宅性能向上の両立図る

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(株)アパックスホーム

 2022年5月に(株)アパックスから現商号への変更、ホームページやロゴの刷新を済ませたアパックスホームは、27年の東京プロマーケット市場への上場を目指す。23年11月にグループ会社で不動産管理を手がけていた(株)プリモを吸収合併し、組織のスリム化を図りながらも拠点開設を積極的に進めている。

新規事業への参入と東京などへの拠点展開

谷口淳代表
谷口淳代表

    アパートから戸建事業への参入、福岡から東京、名古屋、広島への拠点展開などで業績を急拡大させているのが、総合ハウスメーカーへの進化を図る(株)アパックスホームだ。

 同社の代表取締役社長・谷口淳氏は、「木造の戸建住宅とアパート、それぞれを建築できるところが当社の強み」と話す。合併前のグループ各社では、分譲マンションや戸建用地の開発、不動産売買、アパート建築・管理などを手がけてきた。

 「それまでは企業ではなく、家業でした」(谷口社長)という同社が、拡大路線に急旋回したのはコロナ禍がきっかけだった。「コロナ禍の初期は、『これから住宅産業が大きく変わってしまうかもしれない』と私自身も右往左往してしまいました。漠然と『このままじゃだめだ』と考えるようになり、どれだけマーケットが大きく変わっても対応できるよう、第二創業を決断。会社の組織化と事業拡大にチャレンジしてみたくなったのです」と当時を振り返る。

内製化で成長加速 施工品質の向上にも

戸建住宅の建築事例(イメージパース)
戸建住宅の建築事例(イメージパース)

    事業拡大に向け、まず着手したのが「内製化」だった。そのために採用を強化し、自社でアパートの企画から建築までを一貫して行える体制を構築。自社施工が可能な体制が整ったことで、アパートの企画にも幅が生まれたという。さらに、自社施工とすることで施工品質の向上を主導して行うことができるようになり、これは戸建事業への参入にも大きく貢献することとなった。

 「いい建物をつくるためには、自ら建設業者になるしかないと考え、自社施工へ舵を切りました」(谷口社長)と内製化の狙いについて話す。また、続けて「実需では最新のトレンドを押さえることが求められます。その知見を投資にも生かすことで、細かいところまで気配りの効いた建物をつくっていけるようになります。そして、それが当社の独自色になっていくはずです。今後はより大型の建築工事にもチャレンジしていきたいですね」と意気込みを語ってくれた。

「よりより建物のため」スペック向上へ気密測定

 内製化をはたして数年、戸建住宅の高性能化にも力を入れており、「住宅の二次流通を考えたとき、立地以外では住宅性能が再販価格を左右していくことは間違いありません。当社では住宅のスペック向上に努めており、断熱だけでなく気密にも気を配っています」(谷口社長)という。今年、福岡市内で完成した住宅では、同社初となる気密測定を行った。戸建事業へ参入して間もないながらも「納得のいく数値を計測できた」(谷口社長)と顔をほころばし、今後は全棟で気密測定を行っていく考えも示した。

 さらに、自社施工ならではの強みを生かして、「より良い建物をつくっていくため」、同社では新たに注文住宅などの企画・建設を手がける部門を立ち上げた。大手ハウスメーカーレベルの品質を保ちながら、地場工務店レベルの価格で提供することが目的だ。オーダーメイドとなる注文住宅では、耐震性や断熱性、気密性といった性能はもちろん、ニーズに対応した設計力が求められる。

アパート建築事例(福岡市)
アパート建築事例(福岡市)

    「当社が得意としてきたアパート開発では、利回りなどの数値が重要となりますが、ここに注文住宅で培った設計力を加えることで、より差別化したアパートの提案ができるようになります。大きな社会問題となっている空き家の再生なども行っていくことで、資産の有効活用に貢献できれば」(谷口社長)と実需向けだけでなく、賃貸用アパートでもオーダーメイド建築を行うことを明らかにした。

目指すは27年の上場と29年の売上高100億円達成

 拠点拡大や建築内製化などにより、2024年11月期の売上高は30億円を超える見通しで、来期は40億円を見込む同社では、27年の東京プロマーケット市場への上場を目標に掲げる。福岡・東京・広島・名古屋の拠点に加え、今後は大阪にもオフィスを構え5拠点体制とし、29年11月期には売上高100億円の達成に向け、各拠点で採用強化を図っているところだ。

 また、福岡オフィスからは北九州や久留米、東京オフィスからは千葉や埼玉、神奈川といったように、各拠点でサテライトオフィスを設けていく考えもあるという。サテライトオフィスはショールームの要素も取り入れ、注文住宅やアパート建築の打ち合わせ、土地の紹介などを行っていく予定のようだ。昨年までに、現商号への変更、賃貸管理を手がけるグループ会社の吸収合併など、上場に向けてガバナンスのスリム化と事業拡大を同時に進めてきたアパックスホームが、「総合ハウスメーカー」として大きく飛躍していくことに期待したい。


<COMPANY INFORMATION>

代 表:谷口淳
所在地:福岡市中央区大手門3-8-16
設 立:2011年12月
資本金:4,000万円
TEL:092-726-8300
URL:https://apaxhome.co.jp

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