2024年09月03日( 火 )

福岡で1万戸超え新たな領域へ エンクレストマンションの挑戦

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(株)えんホールディングス

 (株)えんホールディングスは、2000年に同マンションシリーズ第1号となる「エンクレスト西公園(56戸)」を完成させて以来、供給戸数を増やしてきた。現在、同社が取り組む大型プロジェクトが、エンクレストガーデン福岡だ。これまでもファミリータイプマンションの供給実績は4棟あるものの、これほどの大型プロジェクトは同社にとっても大きな挑戦となる。

エンクレストがつくったまち

 福岡市博多区築港本町・住吉・美野島─「エンクレスト」マンションがどこからでも見えるエリアだ。これら賃貸需要が高い天神・博多エリアを中心に、県内トップの供給量・年間約500戸のエンクレストを供給するのが、(株)えんホールディングスである。同社では毎月の入居率の推移をホームページ上で公開。管理戸数は1万戸を超えており、年間の平均入居率は99%超(23年)を誇る。

 エンクレストは、これまで120棟超が供給されてきたが、その影響は福岡にとって小さくないものとなってきた。とくに冒頭のエリアは、エンクレストの供給により変貌を遂げたエリアでもある。それまで低層住宅や倉庫が建ち並んでいたところに、エンクレストが供給されたことにより、賃貸需要の創出や賃料相場の引き上げ効果が顕著となっただけでなく、住民の増加により店舗の立地を促す効果もでてきた。築港本町はその代表エリアだろう。住宅需要が生まれたこのエリアの高い賃貸需要は、同社がつくり出したといっても過言ではない。

本社ビルのチェルシー・ガーデン

えん博多ビル 手前がリニューアルされたチェルシー・ガーデン
えん博多ビル 手前がリニューアルされたチェルシー・ガーデン

 20年8月には、同社のオフィスが入る「えん博多ビル」の上層階に、自社開発・自社運営のホテルトラッド博多(客室数209)が開業。世界的庭園デザイナーの石原和幸氏が監修し、「チェルシー・ガーデン」と名付けられた庭園や壁面緑化は、100種類以上の植物が使用され、四季の移り変わりによって印象が変わるつくりとなっている。今年5月には、チェルシー・ガーデンの拡張が行われ、これで広大な敷地の3面から庭園を望めるようになり、ホテル宿泊客やオフィス訪問客だけでなく、地域の方にも愉しんでもらえる庭園となっている。

 19年からは福岡市が推進する「一人一花運動」に参画し、「366フラワーデイズプロジェクト」を始動。もちろん、チェルシー・ガーデンやホテル前の歩道花壇、さらには福岡市中心部にある120棟超のエンクレストの植栽も、一人一花運動のパートナー花壇およびボランティア花壇に登録している。

集大成となる大型プロジェクト

 敷地面積5,300坪超─福岡市中央区の小笹団地の余剰地に、364戸の大型分譲マンション・エンクレストガーデン福岡が誕生する。「地域住民も利用できる共用スペースを計画し、既存の緑を残して地域の記憶を継承し、コミュニケーションを重要視した意欲的な提案」として評価されたプロポーザルを経て、同社が取得した。

 小笹中央公園とは遊歩道でつながる予定で、いつでも気軽に「自宅の庭」のような感覚で利用することが可能。公園は敷地南側に広がっていることから、開けた眺望に大きく貢献してくれる存在でもある。また、多くの種類の植物を植えることで、マンションを里山のようにデザインした植栽は、こちらも石原氏の監修によるものだ。樹木は敷地内にあったものも使われ、伐採したものは共用部の家具やオブジェなどに活用されるという。

エンクレストガーデン福岡 イメージパース
エンクレストガーデン福岡 イメージパース

 エンクレストガーデン福岡を「エンクレストの集大成」という同社の不動産事業本部執行役員・南昭憲氏は、「中央区で、これほどまとまった土地を取得できるチャンスは、またとないでしょう。森と街をつなぐ小笹というエリアの性格も、非常に魅力的でした」と開発に至った経緯について話してくれた。また、建物の長寿命化についても「質を落とすくらいなら、利益を減らしたほうが良い」という原田社長の考えのもと、メンテナンスや更新を行いやすいよう、共用の設備配管は埋めるのではなく、地下ピット・洞道を通すなど気を配られている。

大橋駅前では複合商業施設も

 福岡市の音楽・演劇練習場「ゆめアール大橋」跡地でも同社による開発プロジェクトが進められる。跡地は開発着工した3月までの8カ月間、駅前の広場として近隣に開放され、期間中はキッチンカーの出店や季節のイベント、菜園での野菜づくりといった地域とのコミュニティ形成に大きな役割をはたしてきた。コミュニティ形成は本開発プロジェクト・OHASHI HILLの施設コンセプトにもつながっており、同地が連綿と繋いできた地域とのつながりを次につなげるものとなったはずだ。

OHASHI HILL イメージパース
OHASHI HILL イメージパース

 OHASHI HILLは、「ウェルネス」 「多様性」 「環境」 「文化芸術」をコンセプトとする地上6階建の複合商業施設となる計画で、スーパーマーケットやクリニック、フィットネスジム、オフィス、駐車場、カフェ、一時保育所、屋上広場のほか地域の活動拠点となるレンタルスペース「おおはしラボ」が設置される。施設開業は25年3月を予定している。

 福岡を代表するマンションデベロッパーとしてだけでなく、ホテル運営や複合商業施設運営を手がけることで、同社が今後も福岡のまちづくりに貢献していくことに期待したい。


<COMPANY INFORMATION>
代 表:原田透
所在地:福岡市博多区住吉3-12-1えん博多ビル
設 立:1989年11月
資本金:1億円
TEL:092-260-5300
URL:https://www.en-hd.jp

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