国の借金が増加の一途 韓国、日本の状況(後)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏なぜ国の借金は増加するのか
政府では税収が計画より少なくなると、赤字を埋めるため、増税をするか、国債を発行して借金をすることになる。ところが、現在の米国のようにインフレを抑制するため、高金利政策を実施すると、返済額が増えるなど金利負担が増加し、借金の規模は増加することになる。
直近の韓国の状況だが、税収減少の主な要因に2つが上げられている。1つ目は企業の業績が悪くなったことで、法人税が減少したことだ。昨年のことだが、半導体不況によりSKハイニックスは上半期に法人税を1ウォンも払っていない。また、4兆ウォンくらいの法人税を払っていたサムスン電子も、昨年は法人税を1,200億ウォンしか払っていない。それに不動産バブルがはじけ、不動産市場が低迷、譲渡税などの税収も12兆ウォン以上減少した。
2つ目の要因は減税による税収の減少である。その結果、税収は当初の計画より56兆4,000億ウォンも少なくなり、史上最大の穴埋めをせざるを得なくなった。しかし、税収は減る一方で、今後どうしても増加が見込まれる項目もある。福祉厚生関連の支出である。福祉厚生関連の支出は昨年より5.7%増加しており、今年も8.7%の予算を増額している。コロナ禍以降、悪化した景気を活性化するため、各国政府は財政支出を増やし、国の借金は世界的に増加傾向にある。
借金増加がもたらすリスクに警戒
韓国の国家負債を先進国や経済協力開発機構(OECD) 加盟国の平均と比較し、韓国の政府債務は、比較的少ないとする主張もある。23年の年末を基準とした韓国のGDP対比の国家債務比率は50.4%である。米国(144.2%) 、日本(254.5%)、 イギリス(104.0%)、フランス(117.3%)より低いことは事実である。とはいえ、このような国はドル、円、ユーロなどの基軸通貨国で、韓国は基軸通貨国ではないことを忘れてはならない。
米国のドルは基軸通貨として、国際決済の50%、外貨保有額の60%を占めている。ドルは需要が多いだけに、ドル国債は人気が高い。需要が多いということは高い金利を払わなくても国債発行ができるということだ。それに信用リスクをそれほど心配する必要もない。ところが、韓国の貨幣であるウォンはわけが違う。ウォン国債の需要も少なく、政府の借金が増えると、金利が高くなることはもちろん、信用リスクが高まり、経済危機に発展する恐れがある。
このような状況下、韓国で来年発行が予想される国債発行額は86兆7,000億ウォンだという。政府の赤字が増加すると、未来世代の借金の負担が増加するだけでなく、信用度も低下する。借金の額が増加すればするほど、利子の負担も増加して政府の運用能力も低下し、経済にも悪い影響を与える。そのため韓国の政府債務の増加に対して、警戒の声が上がっている。
専門家は財政健全性を回復するための早期の政策対応が必要であると指摘している。しかし、借金を減らすことは相当の痛みをともなうことになるため、票を意識した政治家には取りにくい選択肢でもある。このまま韓国の国家の借金が増えていくと、ギリシャ、フランス、ポルトガルなどのような財政悪化に直面し、財政運営が厳しくなる可能性があるという分析もある。
(了)
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