2024年11月22日( 金 )

環境問題解決のリーディングカンパニー 飽くなき開発精神で世界に貢献する

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
法人情報へ

(株)冨士機

 汚泥処理プラントと流動化処理土・中性化固化材をはじめとする環境ソリューション分野で国内トップクラスの地位を築く(株)冨士機。2020年10月に藤田岳彦氏が代表取締役社長に就任、前社長・藤田以和彦氏は代表取締役会長に就任し、新体制に移行した同社はさらなる飛躍を遂げようとしている。その根底にあるのは初心を忘れない技術者魂である。

止むことなく邁進する開発のための頭脳活動

(株)冨士機 藤田以和彦会長
藤田以和彦会長

    (株)冨士機は創業者で現会長・藤田以和彦氏が、1969年に実父が経営する鉄工所を継承し、72年に前身の富士機鉄工を立ち上げたことに始まる。父親は戦闘機開発のプロジェクトメンバーで、その技術者魂が自分のなかにも流れていることを自覚していたという以和彦氏は、福岡大学在籍中から山登りと機械製作に夢中になるとともに、家業の鉄工所を手伝い、そのころから将来の技術開発のアイデアを蓄積させてきた。

 創業当初は生コンクリートの製造プラントのメンテナンスの請負いを中心としてきたが、技術者魂と若い勢いに満ちた同氏は「メーカーの下請」に甘んじることでは飽き足りず、自ら開発を行って大手メーカーと競合するプラントメーカーへと成長した。創業者の飽くなき技術者魂を核として、今も同社は環境問題の解決に向けた技術開発を行っている。

 以和彦氏は現在81歳、事業経営は長男・次男への継承を終えているが、技術開発については命尽きるまで研究に全精力を注力するつもりだという。毎日工場に出勤し、機械製作の構想に明け暮れている。自称「隠れた設計部長」だ。現在、手がけているビッグプロジェクトの1つは『汚泥粉砕機』である。

 『汚泥粉砕機』の原点は『汚泥現場再生プラント』に起因する。このプラントこそ現在の冨士機グループに繁栄をもたらした技術だ。東京・関西方面では地下鉄や高速道路など無数のトンネル工事が地下深くで行われているが、地下工事における頭痛の種は大量の汚泥の処理である。元来、汚泥を処理場へ運んで処理する必要があったが、現場で処理して中性化し、安全な埋立土にする方法を開発した。それ以降、同社は都市のインフラ整備でなくてはならない技術を提供している。新しく開発された『汚泥粉砕機』も、この技術の延長線上に開発されている。

30年、40年来の構想力がいまだに新商品のもととなる

中性固化システムFBE-1500
中性固化システムFBE-1500

    今から30年前、宇美町にあった同社の工場には、開発途上の半端な材料や機械類が山のように積み上げられていた。それらについて以和彦氏は、「このガラクタの山に接して『無駄なことをするなぁ』と嘆くのか、あるいは『宝の山』と喜ぶかでビジネス人生は大きな差が生じる」と熱く力説していた。

 そして今も以和彦氏は、「寝ても覚めても多種多様な閃きと、課題解決のヒントが無限に頭のなかに湧いてくる。この開発に向けたエネルギーが頭脳から湧き続ける間は、毎日工場へ出勤して、現役を貫徹するつもりだ。逆に頭脳活動が委縮し出したときには、己の寿命が尽き果てたと悟るときだろう」と言い、そのときは即引退する覚悟をもって研究に身をささげている。

 だが、機械設計を行うための閃きはまったくのゼロからの構想ではないという。先述した30年前の工場内のガラクタの山が、いまだに着眼点の基礎であり構想の原点である。だが時代が変われば、ニーズも変わる。以和彦氏は、現代のニーズに合った技術をつくり出そうと1つひとつ深く思案するのだという。そうすると突如、ガラクタ山に捨てていた発想が忽然と湧いてくる。命を掛けて発明にいそしんでいたときの思考が復元されるように解決案が突如として頭のなかに閃くのだそうだ。まさに三つ子の魂百まで、衰えを知らない技術者魂である。

環境負荷を低減させる生コンプラントを開発

 同社グループは先述のようなプラントなどの製造ばかりでなく、重要な建設資材である生コンクリートの製造工場も抱えているが、それについても環境に配慮した製造について研究を続けてきた。生コンクリートは業界そのものとして解決すべき問題を抱えている。その1つが残コン・戻りコンである。国土交通省の調べによれば、生コン出荷量の約1.5~2%が残コン・戻りコンとして産業廃棄物化しているとされる。全国の生コンクリートの出荷量は23年に年間約7,155万m3、残コン・戻りコンの発生量は約100~150万m3となる。

環境負荷低減型生コンプラント
環境負荷低減型生コンプラント

    SDGsについての要請が高まるなかで同社は、「環境負荷低減型生コンプラント」を開発した。「環境負荷低減とCO2削減」の理念を掲げ、着想から約3年の研究と設計・工期をかけて、ゼロエミッションを実現させたモデル工場は21年4月に太宰府市に完成し、翌22年1月に稼働した。また、同社の箱崎の生コンクリート工場においても、戻りコンに含まれる水を処理して再利用する設備を開発し取り付けている。

 同社はこのようにさまざまな分野、方法で環境問題への取り組みを実践し、そのための技術開発を自社で行っている。創業以来、技術開発への飽くなき探求心を抱き続ける同社は、これからも環境問題のリーディングカンパニーとして歩み続ける。


<COMPANY INFORMATION>
代表取締役会長:藤田以和彦
代表取締役社長:藤田岳彦
所在地:福岡市博多区博多駅東1-10-30 冨士機博多駅東ビル
設 立:1972年9月
資本金:5,000万円
TEL:092-432-8510
URL:https://www.kk-fujiki.jp

関連キーワード

関連記事