持続可能な企業を目指す DX化と人的資本の強化で新たな段階へ

司法書士法人みつ葉グループ

成長を支えるDXと働きやすい環境づくり

    同グループは2012年に創業し、13年に司法書士法人化、18年に現商号の「みつ葉グループ」へ変更した。事業面では登記・相続・債務整理が3本柱となっている。

　多くの顧客からの深い信頼を得て、創業時は600万円だった売上高は23年度には34億円に達し、24年度は約40億円を見込むほどに急成長を遂げている。これまで先行投資を積極的に行ってきた同グループだが、安定的で持続可能な企業を目指して、新たな段階へと進んでいる。

　23年12月には船井総合研究所が主催する司法書士・土地家屋調査士事務所経営研究会にて、MVO（Most Valuable Office）を受賞した。顧客管理システム（CRM）を活用した事務作業の自動化やデータ分析、業界への積極的な事例共有が評価されたという。事務作業の自動化により、顧客に対して最適な提案を行うための時間をより多く確保できるようになった。宮城誠代表は、AIやデジタルツールを恐れるのではなく受け入れ、活用していく必要があると語る。

    また、働きやすい環境整備にも努めている。22年6月、福岡オフィスを天神ビッグバンの象徴的なビルである天神ビジネスセンターへ移転した。執務室を広々とした設計にしただけでなく、カフェ仕様の休憩スペースやバーカウンターなどを設け、気分転換をしやすくした。同スペースで行われる歓送迎会を通して、スタッフ同士のコミュニケーションも活発になり、業務の円滑化にもつながっているという。

　同グループは5年連続で健康経営優良法人（中小規模法人部門）の認証を受けており、月に1回、健康に役立つ情報配信や、管理職向けにハラスメントや労務の研修を実施している。また、オンラインヨガや提携キックボクシングジムを無料で利用することもできる。スタッフに話を聞いたところ、好評な制度の1つとして、シエスタ制度が挙げられた。通常60分の休憩を、15分単位で最大60分延長することができる制度だ。短い睡眠時間を確保して午後の仕事の生産性を上げることを目的として利用されているほか、市役所や銀行などの私的な用事や、スタッフ同士で長めのランチを楽しむ時間にも活用されている。

借金問題の若年化　マネーリテラシー向上を

　同グループの事業の1つに債務整理があるが、宮城代表は近年、20代という若年層からの相談も増え、借金問題の若年化が進んでいる印象を受けているという。この現状を踏まえて、学生のうちからマネーリテラシーを身につけることの重要性を感じており、実際に福岡市内の学校を訪れ「人生で損しないお金の授業」を行っている。

　クレジットカードやアプリ決済などの普及でキャッシュレス化が進み、お金を使う、借りるという感覚が薄くなってしまったことが理由の1つだと話す。また、22年4月の民法改正で成年年齢が引き下げられ、18歳でも親権者の同意なしに借入に関する契約ができるようになったことから、若年層の消費者金融、クレジットカードに関するトラブルの発生も懸念されている。

　この取り組みは、事業で培ったノウハウを生かすことで人々が貧困に陥るのを防ぎ、より健康的な生活を長く送れるようにするための試みであり、SDGsの一環といえるだろう。社会のなかで経済的に自立し、より良い生活を送っていくためにも、若いうちからお金に関する正しい知識を身に着けることが重要となっていく。

次の世代につなぐため理念共有と制度整備を重視

　企業が成長し拠点が増え人員も増え、働き方が多様となり直接顔を合わせる機会がへるなかで、宮城代表は会社全体で一体感をもつことの難しさも感じている。そのようななかでも、コアとなる部分――理念、ミッションなどの会社の価値観―はスタッフ全員の共通認識として浸透させていきたいと話す。

　現在は人的資本の強化を目的に、役職・職能制度の整備に注力しているという。キャリアアップのルートをより明示化し、かつ給与を紐付けるとともに、職務遂行能力の可視化を図る。スタッフ誰もが自身の能力を高め、より大きな役割を担えるように挑戦できる環境を整えることで、次の世代へとつないでいく。

＜COMPANY INFORMATION＞
代　表：宮城誠
東京本社　　：東京都港区虎ノ門5-12-11
　　　　　　　NCOメトロ神谷町4F・5F
福岡オフィス：福岡市中央区天神1-10-20
　　　　　　　天神ビジネスセンター9F
設　立：2013年9月
資本金：3,500万円
ＴＥＬ：03-6263-0317（東京本社）
　　　　092-406-8920（福岡オフィス）
ＵＲＬ：https://mitsubagroup.co.jp