2024年12月27日( 金 )

麻生氏の動向が議員票の行方に影響~小泉・石破・高市3氏の暗闘

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 自民党総裁選は明日(27日)投開票を迎える。決選投票に向けてカギを握る国会議員票をめぐり、各陣営では熾烈な駆け引きが行われている。

熾烈な支持争い

 今回の自民党総裁選には過去最多の9人が立候補し、当初は「誰が勝つのかわからない」といわれるほどの乱戦模様だったが、最終盤における情勢は、小泉進次郎元環境相・石破茂元幹事長・高市早苗経済安全保障相の3氏が激しく争い、このうちの2人が決選投票に進むものとみられる。議員票は、小泉氏が60人前後の支持を固めてトップに立ち、続いて小林鷹之氏と林芳正官房長官がそれぞれ40人を超える議員票を固めている。

 決選投票に残るとみられる石破・高市両氏は、国会議員の支持が伸び悩み、それぞれ30人強の支持にとどまっているとみられる。

 党員・党友の票は、議員票と同じく小泉・石破・高市の3氏が上位にあるとみられるが、なかでも石破氏は5回目の総裁選挑戦という知名度もあって全国的に優位な状況にあり、高市氏も地元関西を中心に保守的な党員の支持を受けて票を伸ばしている。

 一方、小泉氏は「解雇規制緩和」や「選択的夫婦別姓」発言などが、保守的な党員からの反発を買っており、地元神奈川などでは優位にたっているが、地方では伸び悩んでいる。

キングメーカーの動き

 こうした情勢のなか、総裁選の陰の主役といわれるキングメーカーもにわかに動き出した。小泉氏は24日、後ろ盾の菅義偉前首相と犬猿の仲と言われる麻生太郎副総裁に面会し「力を貸してください」と頭を下げた。小泉氏からの支援要請は、2012年以来の主流派から転落しかねない麻生氏にとっては悪い話ではない。

 麻生氏は決選投票に進むとみられる石破・高市両氏に反発や懸念を抱いている。麻生政権時代、当時閣僚だった石破氏から「後ろから鉄砲を撃たれた」経緯があり、以後関係が悪い。高市氏とは思想的には近いものがある。しかし、靖国神社公式参拝や歴史認識などで右寄り路線をとるのは、ようやく正常化しつつある日韓関係や、アメリカとの同盟関係にマイナスになると懸念している。

 今回、小泉氏の方から頭を下げてきたということもあり、総裁選で恩を売れば、小泉氏が総裁になった場合、少なくとも非主流派に転落することを避けることができる。

 小泉氏は20日、野田聖子元郵政大臣を伴い、父・純一郎氏が郵政民営化で対峙した全国郵便局長会(全特)幹部と東京都内で面会、党員票獲得へ支援を要請した。全特は小規模郵便局の局長でつくる任意団体で、自民党の有力支持団体の1つ。野田氏は郵政民営化に反対して離党し、その後復党している。

 こうした小泉氏の動きを菅氏は容認していると永田町関係者は指摘する。「戦争なんだから、勝てば官軍、負ければ賊軍。誰だって非主流派になり、冷や飯を食いたくはない。小泉さんもですが、麻生・菅両氏も必死だろう」。

福岡県連は林氏支持が多い

 福岡は麻生氏のお膝元であるが、今回、福岡県連としては、いずれの候補者も推薦・支持を明らかにしないことを決めている。

 一方で県連の重鎮である蔵内勇夫常任相談役が林氏と近い関係にあり、林氏が自民党ワンヘルス議員連盟の会長を務めることから、自民党県議団所属の県議会議員の多くは林氏支持に回っている。

 また、旧宏池会(岸田派)所属の古賀篤氏(福岡3区)、藤丸敏氏(同7区)、松山政司参議院議員も林氏支持である。なかでも藤丸氏は、秘書として仕えた古賀誠元幹事長が、林氏を次の派閥会長・総裁候補と推してきた経緯から、林氏を積極的に支持している。福岡県南地域では、昨年の県議選などで蔵内・古賀両氏の勢力争いがあったと指摘されているが、林氏支持においては共通するようだ。

 林氏の立候補は、今後の政局次第で再び旧宏池会が勢いを取り戻した場合、次のリーダーになることを想定しているものとみられている。歴史的に宏池会系の議員が多かった福岡県が林氏支持に動くのは自然な流れではあるだろう。

 麻生・蔵内両氏と対立する武田良太氏は、小泉氏の後ろ盾である菅氏に近いが、今回、誰を支持するのか態度を明らかにしていない。なお、武田氏は、14日に放送されたテレビ西日本の情報番組に生出演し、小泉氏の言動を諫めるコメントをしている。

 ただ、同じ旧二階派の宮内秀樹氏(同4区)、鳩山二郎氏(同6区)は小泉氏を支持しており、武田氏は、総裁選の動向を慎重に見極めようとしているものと思われる。

 いずれにせよ、現状では小泉・石破・高市3氏とも、議員票・地方票合わせて過半数の369票を獲得できる見通しは立っておらず、3氏のうち2人による決選投票にもつれこむことは確実な情勢だといえる。

【近藤将勝】

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