2024年10月01日( 火 )

那珂川・武末市長 通算5期目の挑戦(後)

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 任期満了にともなう那珂川市長選挙が8月4日に投開票され、無所属現職の武末茂喜氏が、旧・那珂川町長時代から通算で5期目の当選をはたした。2018年の市制施行後、初となる選挙戦を制した武末氏に、今後の市政運営について聞いた。
(聞き手:(株)データ・マックス 代表取締役会長 児玉直)

子育て支援の拡充と教育支援に注力

 ──通算5期目となりますが、今後どのようなことに取り組んでいかれますか。

 武末 「子育て支援」を永遠のテーマとして取り組んでいかなければならないと思います。まずは、18歳までの医療費を段階的に完全無償化していきたいと思っています。それと、保育料の減額も進めていきたいと考えています。若い夫婦の方々にとっては、医療費や保育料などがかなりの負担になっています。子どもが小さいほど医療機関にかかる可能性も高く、高校生は部活動でケガなどを負うことも多いですので、これらの制度を充実させて、親御さんの負担を軽減させていくことが目的です。

武末市長

    ほかにも、那珂川町長に就任して以降、教育委員会と連携を図りながら学力向上に取り組んできました。20年に各小中学校の生徒用と教員用のタブレット端末を導入しました。また、ICTを活用した授業提案などを行うICT支援員を各小中学校に配置するなど、ほかにもさまざまな取り組みを行い、その結果、子どもたちの学力の向上が見られたほか、ICTを使いこなすことの育成につながりました。これらの取り組みが認められ、那珂川市教育委員会は23年10月、日本教育工学協会(JAET)より学校情報化先進地域の認定を受けました。

 また、今は特別な支援が必要な子どもたちも増えています。この支援はとても重要で、中学校では学校区内の適応指導教室はもちろんですが、小学校においても学校内および学校外での適応指導を行い、柔軟に取り組む必要があります。これからも、さらに教育委員会と一体となって政策としてやっていきます。
 ほかにも、商工業者とのタイアップを進めていくなど中小企業振興条例を策定し、市内の企業の成長につなげていこうと考えています。

市の未来をつくる、開発事業の進行

 ──那珂川市内の各所では、開発が進んでいます。

 武末 今回の選挙公約に入れていたのですが、中原東地区に広大な土地があります。以前、国鉄時代に社宅として利用されていたところなのですが、ここをJR西日本が活用したいという話があります。総合車両所が手狭になっており、一部を自社の管理事業として活用したいとのことです。ほかにもまだ予定ですが、給食センターが当該地に進出したいという話もあります。都市計画として、今は第一種中高層住居専用地域なので、準工業地域への変更手続きに入っているところで、企業が入りやすい状況をつくっていかなければなりません。

西鉄バス那珂川営業所跡地
西鉄バス那珂川営業所跡地

 もう1つは、「那珂川市道善・恵子土地区画整理事業」が行われており、バス営業所ゾーン、商業・住宅ゾーン、医療・福祉ゾーン、住宅ゾーンと4つの区画に分けられています。そのなかには、23年11月に西鉄バス那珂川営業所が移転開業し、営業所跡地には来年中のオープンを予定している商業施設の「ゆめモール」や、住宅ゾーンには最大150戸の住宅建設が計画されており、現在造成中です。

 那珂川市としては、新幹線の博多南駅を東口、西鉄バス那珂川営業所を西口という位置づけで進めております。

 さらには、那珂川市総合運動公園事業を進めております。場所は市民体育館のそばで、総面積約7.1haのなかに、メインとなる多目的広場、サブ多目的広場、テニスコートなどを備えるスポーツゾーンや、遊具・健康広場ゾーン、緑地ゾーンにエリア分けされています。また、災害時の広域応援拠点として防災関連施設設置を計画しております。当初は23~24年度の供用開始を目指しておりましたが、コロナ禍の影響により、供用開始を2~3年遅らせることになりました。現在、山を削っており、今年中にその横に道路をつくる予定です。

 私が常々思っていることですが、65歳から高齢者と呼ばれるのは早すぎだと考えています。私は71歳ですが、70代、80代でも元気な方は大勢いますし、高齢者という考え方を変える必要があると思います。子どもたちのためはもちろん、ご年配の方々に足腰を鍛えて、リフレッシュしていただきたいという思いもあり、今回の公園整備に取りかかりました。

文化ホールや生涯学習センター、図書館などで構成される複合文化施設「ミリカローデン那珂川」
文化ホールや生涯学習センター、図書館などで構成される
複合文化施設「ミリカローデン那珂川」

市民に寄り添ったまちづくりを

 ──今後、那珂川市をどのようなまちにしていこうとお考えでしょうか。

 武末 先ほど述べた、18歳まで医療費の完全無償化や保育料減額対象世帯の拡充など、若い世代・子育て世代に寄り添い、かつ帯状疱疹ワクチン接種費用の助成や総合運動公園整備など幅広い世代の方々とも、ともに歩んでいく、元気で安全・安心なまちづくりを行っていきます。そのためにも、先人たちが基礎をつくってくださっているので、それを大切にしながら、今あるいはこれから必要だと思われるような施策を職員とともに考え、実践していこうと思います。

(了)

【文・構成:内山義之】


<プロフィール>
武末茂喜
(たけすえ・しげき)
1952年11月、福岡県筑紫郡那珂川町(現・那珂川市)出身。福岡大学を卒業後、77年4月、那珂川町役場に奉職。2008年8月に行われた町長選挙に立候補し初当選。18年10月、市制施行にともない初代・那珂川市長に就任。24年8月に通算5期目の当選をはたす。

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