中国の生産過剰、太陽光発電普及を促進(後)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏供給過剰でパネル価格は暴落
中国のメーカーが太陽光パネルを大量に生産した結果、世界的な供給過剰により価格が暴落している。世界市場をほぼ独占する中国企業の過剰生産が原因で、この1年でパネル価格は半値に落ち込んだ。今後も供給過多は続きそうで、さらに価格は暴落するかもしれない。
安価な中国製品は世界中に流出しており、貿易相手国である米国、ヨーロッパからは反発が起きている。各国は関税を引き上げるなど、対抗措置を講じている。しかし、一方では、この価格暴落が太陽光発電の普及に一層拍車をかけている。
太陽光が再生可能エネルギーの主役に
中国は経済発展と環境保全のバランスを取るため、再生可能エネルギーの普及に力を注いでいる。そのような状況下、中国は国内に膨大な市場があることと、先進的なデジタル技術で技術革新を成し遂げたことで、太陽光パネルの製造において、圧倒的な力を持つようになった。
日本や韓国のように「国土の狭い国では太陽光発電は合わない」という議論もたしかにあるが、発電効率を上げることで、このような問題は解決されるという。太陽光発電は環境に優しく、燃料代のかからない発電方式なので、価格下落が進めば、最もコストパフォーマンスの良い発電方式となり、今後はさらに普及が進むだろう。
また、従来の太陽光発電の保守方式では、作業員が広大な敷地に点在する発電設備を点検していたため、数100MWの発電所を点検するのに1カ月以上かかった。しかし、今は保守作業も技術革新により、現場に出かけることなく点検ができるようになっている。
太陽光発電には電気の貯蔵が必須に
太陽光発電が増えれば増えるほど、電力供給は不安定になる。また太陽光は光がないと発電できないので、夜は発電できない。このような課題を解決するためにも、太陽光発電は電気を貯蔵する技術と組み合わせることが必要だ。これと関連した代表的なプロジェクトが「オーストラリア・ASEANパワーリンク」である。
このプロジェクトは、3,700kmほどの海底送電ケーブルを利用して、豪州の砂漠で太陽光発電した電気をシンガポールに輸出するというプロジェクトである。
今後、世界中で太陽光発電の急激な増加が予想される。脱炭素社会の実現のためにも再生可能エネルギーへの対応は喫緊の課題である。また、太陽光発電で圧倒的な力をもつ中国とどのように向き合うのかも問われている。今後のエネルギー動向から目が離せない。
(了)
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