2024年11月23日( 土 )

斎藤元知事問題核心見落とすな

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 NetIB-NEWSでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は「兵庫県議会から不信任決議を受けた斎藤元彦前知事について、問題の核心は『二人の県職員の死』と『パレード資金捻出にかかる補助金不正』である」と論じた10月1日付の記事を紹介する。

兵庫県議会は斎藤元彦知事に対する不信任決議案を全会一致で可決した。斎藤知事は辞職、議会解散、失職のいずれかを選択することになったが失職を選択した。

失職後、新たな知事を選出する知事選が実施される。兵庫県選挙管理委員会は9月30日、斎藤元彦氏失職にともなう次期知事選を10月31日告示、11月17日投開票の日程で実施することを決めた。他方、次期衆院総選挙は10月15日公示、10月27日投開票で実施される方針が示された。この結果、知事選は衆院選の投開票日の4日後に告示される。衆院選との同日実施は準備の面で難しいと判断された。

斎藤元彦氏はこの知事選に出馬する意向を表明した。斎藤氏が辞職でなく失職を選んだのは、失職にともなう出直し選挙では当選した場合の任期が4年になるからと見られる。

辞職にともなう出直し選では新たな知事の任期は1年になる。出直し知事選で当選して4年の任期を新たに獲得することを目指すということ。

斎藤氏は出直し知事選に立候補する意向を示した会見で、「文書問題の調査を行い、事実を解明していくことはすごく大事だが、はたして知事が職を辞すべきことなのかというのが根底にあるのが正直なところだ」
「違ったことはしっかり改めるべきで、机をたたいたことや付箋を投げたことは反省しなければいけないが、知事は大きな負託を受けてなるもので、職を辞することはかなり重大なことだ。議会の判断だが、本当にそこまでいかなければいけなかったのかという思いは正直あった」と述べた。

斎藤氏は自分が何を問われているのかをまるで理解していない。文書に書かれていたことを根拠に不信任が突き付けられたのではない。斎藤知事の問題を内部通報した県幹部職員の行動に対して県として適切な対応を取らなかったことを追及されている。

内部通報が行われた場合、内部通報者を守ることが内部通報制度の根幹である。ところが、斎藤知事は内部告発の犯人捜しを指示し、内部告発をした人物に対する不正で不当な脅迫行為を繰り広げたと見られている。

決定的に重要であるのは内部告発を行った県局長が自死に追い込まれたこと。斎藤知事の指示に基づき告発者の犯人探しが実行され、告発者のPCを押収し、PCに保存されていた個人データを材料に脅迫行為が展開されたと指摘されている。このために県局長が自死に追い込まれたとの見方が有力である。

1人のかけがえのない命が失われた。しかも、かけがえのない命が失われたことに、斎藤知事の行動が深くかかわっている疑いが指摘されている。

かけがえのない命が失われたのは1名でない。兵庫県総務課長は斎藤氏が主導した阪神優勝パレードの資金調達の困難に直面させられた。

※続きは10月1日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「斎藤元知事問題核心見落とすな」で。


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