2024年10月04日( 金 )

駅舎建替えへ、変わる飯塚駅の現状

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飯塚駅の整備

 JR飯塚駅が建替えられることが決定し、周辺道路整備と橋の架け替えが行われている。駅舎の立て替えのほか、西口と東口をつなぐ自由通路を設置し、東側にも新たな改札口を設置。ほかにエレベーターの設置や、駅前広場の整備、周辺公園の新設、駅北側の桜ケ丘踏切の改良など、全体の完成は2026年度末とのこと。生まれ変わる飯塚駅周辺をレポートする。

 駅舎工事は今年度の着工が予定されているが、現在は50年前から変わらない姿を残している。現在の飯塚駅は、1893(明治26)年7月3日に開設され、1970年に改築された駅舎だ。改築から数えても50年以上経過した駅舎は、昭和のまま時間が止まっているかのような印象だ。駅周辺を見ると、低層の戸建住宅で構成される住宅街が広がっている。かつては炭都としてオフィスや飲食店が建ち並び栄えていたのだろうが、61年に飯塚炭鉱が閉山したほか、64年に飯塚市役所が飯塚駅周辺から新飯塚駅近くに移転した影響で、飯塚駅の周辺は衰退の一途をたどってきた。

ゆめタウン飯塚開業

 炭鉱閉山から60年以上の時を経て、最近の飯塚駅周辺の変化を見ると、2021年9月17日に飯塚駅から950m(徒歩13分)の位置にあるスーパーセンタートライアルが大規模改装後、リニューアルオープンした。

(上)スーパーセンタートライアル飯塚  (下)ゆめタウン飯塚
(上)スーパーセンタートライアル飯塚
(下)ゆめタウン飯塚

 そして23年7月29日、同駅から西に約450m(徒歩6分)の距離にある旧・飯塚市地方卸売市場(21年5月に庄内工業団地に移転)跡地において、九州では約6年ぶりのゆめタウン新店舗「ゆめタウン飯塚」がオープンした。ゆめタウン飯塚は、食料品はもちろん、飲食店やアミューズメント施設、九州3番目となるIMAXシアターが導入された映画館まである大型施設だ。オープンから1年が経過した施設内を見ると、たくさんの買い物客がいるものの、同店の博多店と比較すると客足はまだ少ないように見える。とはいえ、ゆめタウン周辺にはコンビニや飲食店も多くあり、生活するうえで困ることはなさそうだ。

ベッドタウン・飯塚

 飯塚市は嘉穂炭鉱跡を「飯塚あかね工業団地」として整備し、半導体企業を積極的に誘致したい考え。また、沢井製薬(株)が第二九州工場を竣工させるなど、工場立地により雇用が生まれている様子がうかがえる。では、福岡市のベッドタウンとして発展する可能性についてはどうだろう。JR飯塚駅周辺の住環境を考えると、前述のように買い物に困ることはなさそうだ。病院も筆者が調べた限りでは、内科、外科、皮膚科、産婦人科、精神科、薬局など一通りそろっていた。公園も多い。

 次に交通の利便性を考えると、鉄道はJR飯塚駅から6時台、7時台ともに1時間に4本の博多駅への普通電車があり、所要時間は約45分と、十分通勤圏といえるだろう。また現在、福岡-飯塚をつなぐ八木山バイパスでは4車線化工事が進んでいる。14年10月1日に無料化された現在は2車線の八木山バイパスだが、無料化にともない交通量が有料時と比べて約2倍へ増加。そのため朝晩の渋滞がひどく、事故が起きて事故車が車線を塞ぐと、途中に抜け道がなく事故処理が終わるまで渋滞が解消しないケースもあったため、4車線化および再度の有料化が決まっている。この八木山バイパスを使えば、博多・天神まで1時間弱(30km程度)とこちらも通勤圏といっていいだろう。

 飯塚駅周辺の土地やマンションの入手性を考えてみると、駅のすぐ前に約30m×30mの広くマンション建設に適した土地が更地である。この土地は、旧炭都ビルがあった土地と駅の目の前で、Uの字になって見通しも悪く通行しにくかった道路について橋の架け替えを行い、まっすぐの新しい道路をつくったときにできた土地だ。旧炭都ビルは13年ごろに当時の菰田自治会長会など3団体が飯塚市に有効活用してほしいと買上げを要望した土地で、それに対し当時の副市長田中秀哲氏が「住民の方々の思いに応えられるよう最大限努力したい」と回答した場所である。

 この土地以外にも駅周辺には駐車場や空き地も多く、すでにマンションの建設予定地もあり、これから発展していく余地は十分ある。「最後の昭和」である駅舎が立て替えられることで、昭和で止まっていた時間が動き出すように感じられた。

 飯塚市都市建設部都市計画課の飯塚駅周辺整備推進室主査・古江一裕氏によると、「飯塚駅周辺の整備につきましては、22年3月に策定いたしました『飯塚駅周辺地区整備基本計画』に基づき事業を進めています。炭都ビル跡地につきましては、駅前広場として整備する部分と残地として残る部分があります。残地部分につきましては、基本計画において、『民活用地』としており、将来的には売却を行う予定ですが、整備工事にともなう作業ヤードなどとして使用する見込みであることから、時期については決まっておりません。工事の進捗状況等を考慮し、なるべく早い時期に売却を行う予定としています」という。

【外部ライター・奥野晃市】

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