原発全面推進の国民民主党
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NetIB-NEWSでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は国民民主党の支持母体の実態について指摘する10月14日付の記事を紹介する。
総選挙に向けて各政党が政策公約を提示する。主権者にとって最重要であるのが政策だ。誰が政権を担おうが、誰が大臣を務めようが、重要性はあまりない。どのような政策が遂行されるのかが重要だ。政治に無関心ではいられても、政治に無関係ではいられない。
9月4日に開催した『ガーベラの風』国会イベント
「災害・食料・消費税 総選挙で日本をアップデート」
で、「総選挙に向けての〝ガーベラの風″イニシアティブ」を満場一致で採択した。紹介しておきたい。
「日本経済長期停滞の下で労働者の実質賃金は過去27年間に17%も減少しました。この間に消費税率は10%に引き上げられ、日本の主権者は下流に押し流されています。他方、大企業利益は空前の規模に拡大しています。
集団的自衛権行使は憲法違反であるとの政府見解は書き換えられ、憲法改正の手続きを経ることなく憲法の中身が一内閣によって改変されました。自衛隊は米軍指揮下に組み込まれ、戦争準備が加速しています。
福島原発の悲劇を体験した私たちは原発廃止を決意したはずでしたが、一転、原発全面推進の旗が振られています。
TPP断固反対を掲げた自民党がTPPを推進し、日本の農業は壊滅の危機に瀕し、食の安全が根底から損なわれています。
このなかで、政治とカネの巨大組織犯罪に直面した岸田内閣が終焉し、次の総選挙を通じて、私たち主権者が望む基本政策を実現する清新な政権を樹立することが求められています。原発廃止・食料と食の安全確保・消費税減税・廃止の基本政策を掲げる国会議員が衆議院過半数を制し、私たち主権者が希求する基本政策を実現する清新な政権を樹立することが必要です。
そのために、思いを共有する主権者と政治勢力・議員候補者との強固な連帯を呼びかけます。政治は私たちの命と暮らしを守る根本です。政治に無関心でいられても、政治に無関係ではいられません。
私たちの未来を明るいものにするために、すべての市民が笑顔で生きてゆける社会をつくり出すために、手をつなぎ、来る総選挙で輝かしい勝利を勝ち取ろうではありませんか。
本日の貴重な提言、提案を基礎にして、沈みゆく日本に、新しい輝きを取り戻しましょう。未来を明るいものにするか、暗いものにしてしまうか。それは、私たち主権者の行動にかかっています。私たち主権者が主導してこの国の未来を明るいものにしてゆかねばなりません。この決意を共有し、本日の国会イベントのイニシアティブといたします。」
イベントでは立憲民主党の末松義規衆議院議員、原口一博衆議院議員、川内博史衆議院議員、日本共産党の穀田恵二衆議院議員、れいわ新選組のたがや亮衆議院議員から貴重な講演をいただいた。立憲民主党のなかにも原発廃止、消費税減税・廃止、食の安全確保、国民の命の確保を重視する議員が存在する。共産党の提示する基本政策、れいわ新選組の提示する基本政策は私たちが求める基本政策と完全に一致する。
イベントに参加できなかったが社会民主党も同様の基本政策公約を掲げる。この基本政策を共有する政治勢力と市民の連帯を構築しなければならない。
国民民主党はかつて巨額の政策活動費を計上していた。政策活動費は使途を明らかにしなくてよい政治資金。この政治資金が議員の飲食等に用いられてきたと見られる。
政治とカネの問題がクローズアップされ、国民民主党も批判の対象とされたことから国民民主党は政策活動費廃止を主張するようになった。しかし、国会で政治資金規正法改正が審議されている過程で国民民主党は生活活動費廃止を提案しなかった。使途の公開などを訴えていただけである。
ザル法改正が終わってから政策活動費廃止を主張しても説得力がない。その国民民主党政策での最大問題の1つが原発全面推進の方針だ。発表した衆院選公約で国民民主党は原子力発電所について
「建替え・新増設により、輸入に頼らない安価で安定的なエネルギーを確保する」と明記。記者会見で玉木雄一郎代表は「当面は原子力を最大限活用するということは不可欠だ」との考えを示した。
背景に国民民主党の支援組織の影響がある。現在の連合を支配しているのは「6産別」。大企業御用組合連合。6産別とは電力総連、電機連合、基幹労連、UAゼンセン、自動車総連、JAMのこと。かつての同盟の系譜を引く組合が多い。
同盟は1960年に創設された民社党支援母体として創設された労働組合組織。民社党はCIA資金援助で創設された。日本の革新勢力を分断することが目的であったと考えられる。当時は労組の影響力が強く、労組主導で左派政権が樹立される可能性があった。これを阻止するためにCIAが反共の防波堤として民社党と同盟を創設したと考えられる。
他方、CIAが関与して育成したのが国際勝共連合である。国際勝共連合は統一協会の政治組織である。韓国で創設された統一協会は反共政策を前面に押し立てることにより朴正煕政権の庇護を得た。CIAと連携するKCIAをバックボーンに統一協会の反共運動が展開された。これが日本に持ち込まれて国際勝共連合が創設された。
国際勝共連合創設を主導したのが、統一協会創始者である文鮮明、笹川良一、岸信介、児玉誉士夫、日本統一協会会長の久保木修己などの各氏である。笹川、岸、児玉の各氏はいずれも戦犯容疑で収監されたのち釈放された面々。CIAがエージェントして活用した人物であると考えられている。この国際勝共連合と同盟が深い関係を有したことは背景をみれば順当なこと。CIAの反共政策=勝共戦略という背骨が存在する。
1989年に労働4団体等が統合されて連合が創設された。その連合の主導権を握ったのが「6産別」であり、この「6産別」の基幹がかつての同盟の系譜を引いている。2017年に創設された立憲民主党は当初、旧民主党のリベラレ勢力が民主党から分離して創設された政党と理解されて躍進した。
立憲民主党が野党第一党の地位を確保する原動力になったのが共産党の選挙協力である。ところが、2021年の総選挙のさなかに枝野代表が共産党との共闘路線を突然否定。これを契機に立憲民主党が凋落の坂道を転げ落ちた。
立憲民主党が右旋回した背景に連合の介入があったと見られる。その連合と密着した関係を有しているのが国民民主党。とりわけ、電力総連と電機連合は原発全面推進が本音と見られる。
日本の主権者は日本における原発推進政策の是非を考える必要がある。福井地方裁判所の樋口英明裁判長が示した判断は、日本の原発は耐震性能が不足しており、原発稼働は認められないというものだった。極めて単純明快な判断だ。
総選挙に際して主権者が投票先を見極める第一の基本は原発稼働に対する候補者のスタンスである。この第三極を確立して政権奪取まで育て上げることが最重要課題だ。
※続きは10月14日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「原発全面推進の国民民主党」で。
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