美容液・育毛剤の広告で通販3社に業務停止命令　3社の代表は同一人物

　3社の代表は同一人物で、3社が一体となって美容液や育毛剤を販売していた。3社ともに、高橋史弥代表が出資して設立。通信販売や電話勧誘販売によって、化粧品とヘルスケア用品の販売を手がける。高橋代表が、販売方法や販売条件といった販売活動に関する重要事項を決定していた。

　3社の役割を見ると、トライブは、通信販売の定期購入や電話勧誘販売に関する広告・物流業務、コールセンター業務の外注費用などを損金計上していた。

　トライブとリアラスターは、美容液などの通信販売・電話勧誘販売でリアラスターを販売業者として表示していたが、トライブが販売業務を担うなど実質的に一体となって販売していた。トライブとヘアージュについても、育毛剤などの通信販売・電話勧誘販売でヘアージュを販売業者として表示していたものの、実質的に一体となって活動していた。

定期購入で不適切な表示も

　東京都によると、トライブとリアラスターは、美容液のランディングページで効能について「深いシワ、隠れシミ、黒い毛穴、国内唯一の薬用成分で改善！」「たるんだフェイスラインごと深いシワを持ち上げる」「深いシワが“真皮から持ち上がる”ので、リフトアップにも高い効果を発揮します」とうたっていた。

　また、縛りのない定期購入の販売サイトで、初回1個1,980円と表示する際に、定期購入での販売実績のない「通常価格5,600円」を比較対象に用いていた。具体的には、縛りのない定期購入の申し込みを行った際に表示されるページに、実際に得するのは定期購入の2回目以降の美容液2本分7,960円であるにもかかわらず、販売実績のない「通常価格5,600円」で13本購入する場合の総額と比べて「31,020円税込もお得！」と表示していた。

　トライブとヘアージュは、育毛剤のバナー広告で「〇〇で大ヒット」や「2023年〇〇で爆売れ」とうたい、有名店舗で販売が好調であるかのように宣伝していた。しかし、実際には当該店舗での販売実績はなかった。

　効能についてはランディングページで、「自分の髪色が戻る、黒髪矯正剤、この作用から『染めない髪色戻し』とも呼ばれているんですって！」「白髪は〇〇で黒髪に戻る！！」「白髪染めの代用品が凄い」と表示。これに加え、美容液と同じように、定期購入で販売実績のない通常価格を比較対象に用いていた。

　このほか、通信販売の「特定商取引法に基づく表記」で2023年6月1日～12月22日の期間、通信販売に関する業務の責任者として、従業員でもなく、通信販売に関する業務をまったく行っていない者の氏名を表示していたこともわかった。

　電話勧誘販売については、購入者へ交付した書面に必要項目が記載されていなかったことや、クーリング・オフを申し出た購入者に対し、解除を妨害していたことが認められた。

代表者に3カ月間の業務禁止命令

　東京都は同社に対し、11月2日～来年2月1日の3カ月間、通信販売に関する業務の一部を停止するように命じた。

　同社の高橋代表に対しては、3カ月間の通信販売に関する業務禁止命令を出した。3社の代表取締役として、通信販売の業務全般を統括し、営業方針を決定するなど、主導的な役割をはたしたと判断された。

【木村祐作】