2024年12月04日( 水 )

24年地価調査・期待高まる天神の北回帰

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<天神の拡張>
明治通りを起点に期待高まる天神の北回帰

 天神エリアの上昇も顕著だ。とくに目立つのが、天神橋口交差点のミーナ天神こと「天神4-3-8外」(16.2%増)である。天神ロフトの移転が、「天神の北回帰だ」として注目を集めたことも記憶に新しい。今回の地価調査では平米単価587万円と県内3位の価格を付けたが、なお上昇率は16.2%増と高騰を続けている。価格2位の「天神2-5-17」は平米単価705万円だったが、上昇率は1.7%となっており、いつ順位が逆転してもおかしくない状況にある。

 ミーナ天神に隣接する福岡中央郵便局およびイオンショッパーズ福岡では、段階的に再開発を進めていくプロジェクトもあるほか、那の津通り沿いの須崎公園では26年の全面供用開始を控え、再整備が佳境を迎えており、本格的な天神の北回帰が進んでいくかもしれない。同じく、北天神に位置する「天神3-6-18」(17.3%)も4年連続で2ケタ増、3年連続で15%超の上昇となっている。親不孝通り沿いのビルという特性上、コロナ禍では落ち込んだものの、以降は大幅な上昇を継続しており、平米単価は150万円を超えた。

 また、長浜公園を挟んだ「舞鶴1-4-30」(16.2%増)も5年連続で2ケタ増、3年連続で15%超の上昇を継続している。なお、天神の北回帰とは趣旨がずれるが、より北側の「那の津4-8-11」(18.2%増)も大幅増を継続。臨港地区として開発規制がかかるものの、天神に近く、ポテンシャルを秘めたエリアだ。

開発続く天神の南方面 サンセルコも建替えか

 天神の南側を越えたエリアでは、不動産取引が活発化している。「清川」「春吉」では、マンション用地の売買が頻繁に確認されており、分譲マンションや賃貸マンションの開発が相次いできた。ホテル用地やテナントビル、賃貸マンションの売買も多く、プレイヤーとしては県外業者が目立つ。それまで地場業者があまり目を向けてこなかったエリアだったが、「天神に近い」立地が再評価された格好となって久しく、天神エリアの地価上昇を押し上げる要因の1つとなっている。

 「渡辺通1-12-9」は前回5.7%だった上昇率を大きく伸ばして、10.7%増と5年ぶりの2ケタ増。平米単価も300万円を超えた。同じく渡辺通1丁目のサンセルコビルでは、コロナ禍でストップしていた建替えの議論が再スタートしたと聞かれており、再開発が現実味を帯び出したようだ。地下鉄・七隈線の延伸が完了したこともあり、博多と南天神、薬院の要となる立地だけに、期待が高まる。近隣では、アライアンス(福岡市中央区)が分譲マンション・ミスモ薬院ネクスト(38戸)の開発に着手した。

 「高砂2-6-23」(19.0%増)は、日赤通りに近い賃貸マンションで、4年連続で15%超の上昇を続けており、19年比で平米単価は倍以上となった。

(つづく)

【永上隼人】

地価15%上昇の美野島でLANDICがマンション
天神拡張の影響は赤坂・六本松にも

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