2024年12月22日( 日 )

FGNで建設DX促進イベント スタートアップと地場企業マッチング

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協業マッチングイベント『建設DX』福岡

 福岡市道路下水道局は、建設業界の生産性向上を支援するため、地場建設会社と建設DX系スタートアップ企業の連携機会を創出する「協業マッチングイベント『建設DX』」を開催した。

 2024年11月5日、福岡市のスタートアップ支援拠点であるFukuoka Growth Nextにて『建設DX』をテーマにした企業間マッチングイベントが開催された。地場の建設業界とスタートアップ企業が新たな技術やソリューションを通じて業務改善や効率化を図る場として企画され、約2時間にわたるプログラムで行われた。

 福岡市副市長・光山裕朗氏は開会挨拶で、「スタートアップ企業を支援していくという観点も含めて、官民挙げて建設業界の生産性向上支援事業を推進していく。今回の取り組みを建設業界の生産性の向上、さらには人材の確保につなげ、将来的には建設業界の明るい未来につなげていきたい」と述べた。

 建設業界におけるデジタル化の現状や課題についてのパネルディスカッションでは、オングリットホールディングス(株)、(株)Splice-Lab、(株)金本組の3社が登壇。DXによる生産性向上の可能性や技術導入の課題などが議論され、3社は共通して、「自社だけでDXを推進するには限界がある」との認識を示した。Splice-Labの代表取締役・片山英資氏は、「協業においては、どちらか一方が主導権をもつのではなく、双方が歩み寄りながら共同で進める姿勢が求められる」と強調した。

 さらに、地場の建設会社から(株)近代プラント、九洲日東(株)、(株)九電工の3社が、それぞれ自社の取り組みと直面している課題について発表。各社の発表では、人手不足や作業効率の向上、働き方改革が共通のテーマとして浮かび上がり、業界全体が抱える課題が共有される場となった。水処理施設や汚泥焼却施設などの下水処理場の維持管理を手がける近代プラントは、夏場の高温環境での焼却施設管理や遠隔地のポンプ場における計器情報の確認を課題に挙げた。

協業マッチングイベント『建設DX』福岡    今後、「協業マッチングイベント『建設DX』」では、イベントを通して生まれた企業間の個別マッチングの企画・調整を行うほか、HP上に企業名・事業概要・自社課題を掲載し、その課題解決に資する技術を有するスタートアップの呼び込みを図る。25年1月頃にも、連携事例についてのプレゼンを含む、福岡市内の建設会社とスタートアップとのビジネスマッチングイベントの開催を予定している。

【岩本願】

スタートアップ4社のプレゼン

 スタートアップ企業・(株)アンドパッド、(株)ルクレ、(株)TSグループ、(株)フォトラクションの4社によるプレゼンテーションも行われた。

 アンドパッドは、15万6,000社以上が導入するクラウド型プロジェクト管理サービス「ANDPAD」を紹介。担当者は「中小企業、零細企業はなかなかITに対して単独での投資が難しい」と現状を話した。ANDPADでは、中小企業でも導入しやすいSaaSモデルを採用しているほか、フリーダイヤルの問い合わせ対応や導入支援により、現場の運用を円滑に進められる体制を整えていることを強調した。

 工事写真記録や編集を支援する写真・映像管理システム『蔵衛門』を提供するルクレは、「段階的にDX化していく必要がある。建設業界は第一歩として、アナログな情報をデジタル化するデジタイゼーションに取り組んでいる」と述べ、黒板のデジタル化の方法として『蔵衛門』を提案した。

 TSグループが提供するAI支援型SaaS「カシスト」は、スマホを活用して技能職人の育成を支援するサービスで、自衛隊の育成メソッドと20年の技能職経験を基に、日本の技能継承を効率化しているという。ベテランの暗黙知をスマホで抽出・提供し、従来のOJTより効率的に技術を伝えられるようにした。さらに多言語に対応しており、外国人労働者に対しても母国語での学習環境を提供する。

 フォトラクションが提供するクラウド型生産支援サービス「Photoruction」は、施工管理に必要なデータをリアルタイムで統合し、オフライン環境でも使用できるAll-in-Oneプラットフォーム。30万以上のプロジェクトで導入されており、BIMソフト・Revitとの連携や電子黒板機能を活用し、効率向上を図っている。

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