核開発の資金源、北朝鮮によるハッカー攻撃(後)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏北朝鮮のサイバー攻撃能力
北朝鮮は核ミサイルとサイバー攻撃を有効な攻撃手段として認識し、金正日時代から集中的にサイバー攻撃能力の育成に努めてきた。金委員長は国家レベルでのIT英才教育を指示し、全国の小学校で選抜された人材にさまざまなコンピューター教育を受けさせた。そのなかで優秀な人材は、大学に進んで、より高度な技術教育を受けることになる。サイバー攻撃要員として養成された人材は、海外で研修を受けることもある。このような訓練が終わるとハッカー集団に配属される。
北朝鮮のハッカー集団は、大きく軍と党系列に分けられる。軍偵察総局のサイバー専門部署である「技術政察局」だけでも15~20個以上のハッカー集団が活躍していることが知られている。このなかでも国際社会を震撼させた集団は「ラザルス」である。専門家によると、北朝鮮のハッカー能力は米国、ロシアに次ぐ世界3位と評価されるほど、ハッキング能力が高いという。
「ラザルス」は、ソニー・ピクチャーズが金正恩総書記の暗殺をテーマにした映画を製作すると、これに対する報復としてサイバー攻撃をしかけた。また、ニューヨーク連邦準備銀行に預けられたバングラデシュ中央銀行の預金1億10万ドルをハッキングし、8,100万ドルを横取りした。このような事件により、北朝鮮のハッキング能力が相当高いことが証明された。
核開発の資金源となっているサイバー攻撃
「飢餓などで苦しむ北朝鮮にミサイル開発をする資金があるのだろうか」と疑問に思うこともあるだろう。北朝鮮は政権維持と資金調達の手段としてサイバー攻撃を選択している。サイバー攻撃の目的が、以前は社会の混乱を引き起こすことだったとしたら、現在は資金を調達するための主要な手段と化している。
サイバー攻撃は北朝鮮のコア戦略で、情報を収集してビットコインなどの仮想通貨を奪取する。その資金の一部は、スパイ活動の支援金として活用されたり、核ミサイル開発の資金として利用されたりするので、北朝鮮によるサイバー攻撃は、韓国を脅かす最も怖い武器になりつつある。
北朝鮮のハッカー集団が奪取した仮想通貨は、30億ドルを上回り、そのうちの約半分は、核ミサイル開発のための部品購入に使われたという。従って、経済難や経済制裁が続けば続くほど、北朝鮮はサイバー攻撃に力を入れることになる。
北朝鮮による暗号資産を狙ったサイバー攻撃は年々、増加傾向にあると言われている。「チェイナリシス」によると、盗み出された暗号資産は、5年前の19年には2億7,100万ドルだったのが、翌20年は3億ドル、21年は4億2,900万ドル、そして一昨年の22年には17億ドルにのぼるという。なお、北朝鮮は1回のサイバー攻撃で31発のミサイルを発射できる資金を確保できるといい、サイバー攻撃に力を入れるのにも納得がいく。
(了)
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