中台首脳会談、地元メディアの反応は?
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習近平国家主席と、馬英九総統による「中国・台湾首脳会談」が11月7日、シンガポールで行われた。
中国側は、台湾への「経済的取り込み」を行ってきたが、ここに来て「政治的なアクション」を起こしてきた。台湾与党・国民党側も、「中国大陸」の話題を引き合いに出すと、国民からの支持率を下げるリスクがあり、一定の距離感を置いてきたが、来年1月総統選の候補者が、急遽、洪秀柱氏から党主席の周立倫氏に変更されるなど、体制の不安定性を露呈、総統選勝利の見込みが厳しくなった状況から、「開き直りの戦略」を打ってきた。もはや、総統戦勝利という狙いよりも、中国との歩み寄りの既成事実づくりや、さらには、台湾内での枠組みよりも「国際世論」も巻き込んでの枠組みに変えてしまおうという魂胆が見て取れる。
台湾野党・民進党の蔡英文党首は、会談実施が突然、数日前に発表されたことを強く批判、「台湾の尊厳と国家の利益に関わる会談を、突然知らせるなどとは台湾の民主政治を傷つけること。この数年間の大陸との政策で国民は失望している」とした。台湾のあるテレビ関係者は「台湾国民の反対を押し切って習主席と会うとは、かなりの奇策だ。独立派は反対運動を起こしているが、効果は薄い。会談で『一つの中国』を世界に向けて宣言されてしまった以上、国民党が与党である期間内に『中国との統一』も受けてしまうのではないか、という懸念も生まれている」と話す。
中台首脳会談の話題は、外電で配信され、日本でも各紙一面で取り上げるなど、注目を集めた。習近平氏と馬英九氏が握手をする写真は好意的な印象で、世界中を駆け巡っている。選挙前に、東京都や山口県を訪れるなど「日本」への展開を積極化させる台湾野党・民進党蔡英文党首の行動を上回る「インパクト、かつ、ダイナミックな行動」を起こしたことになる。
台湾メディア関係者は「会談で対面しようがしまいが、今も刻々と、中国共産党と国民党との画策は続いているだろう。台湾内のルールでの総統選で政権を渡してしまうならば、中国と統一して、総統選そのものの枠組みを壊し『新ルールのなかで国民党が動く』というシナリオもあり得る」としている。
【杉本 尚丈】
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