クイーンビートル、日韓航路から撤退へ「福岡ならではの事業だった」
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九州旅客鉄道(株)は23日、子会社のJR九州高速船(株)が手がける日韓航路事業について、事業から撤退すると発表した。
JR九州高速船は8月に国土交通省の抜き打ち検査を受けて、浸水の隠蔽など不正行為が発覚、クイーンビートルの運航を停止した。JR九州はそれ以降、再開を模索し、旅客船「クイーンビートル」のハード対策を検討してきたが、実施しても船体へのクラック(亀裂・ひび割れ)発生のリスクを完全に払拭できず、運航再開のための確実な安全が担保できないと判断した。福岡海上保安部の捜査への対応などがすべて完了した後、高速船は清算する予定という。
同事業はJR九州が船舶事業部として1991年3月に開始。「ビートル」は2020年1月までで延べ650万人が利用してきた。日韓交流の足として親しまれ、JR九州の事業多角化の象徴の1つでもあった。
観光地理学を専門とする田代雅彦九州産業大学教授は、ビートルについて、釜山までの航行時間が3時間と、ほかの大都市にはない福岡の地の利を活かした事業で、福岡の国際化を象徴するものであり、空だけではなく海でも韓国とつながるという点で画期的な事業であったと評価する。また、博多港・釜山港とも街の中心部に隣接し、街を見ながら着岸・上陸する楽しみもあったと振り返る。コロナ禍でインバウンド事業が大きな痛手を受けたうえ、知床遊覧船沈没事故を受け運輸事業者の安全対策に対する世間の目が厳しくなっていることから、事業撤退という決定について理解を示しつつも、「非常に残念」と語る。
【茅野雅弘】
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