九州地銀の15/9月期(中間)決算を検証する(5)
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◆貸出金残高について
貸出金残高順位表【表1】を見ていただきたい。
第1位は福岡銀行の7兆9,054億円。第2位は西日本シティ銀行の6兆2,587億円で、ここまでが5兆円を超えている。
第3位の肥後銀行は2兆7,336億円。第4位の鹿児島銀行は2兆7,047億円。両行は10月1日に経営統合して九州FGとなった。単純合算した貸出金は5兆4,383億円であり、第2位の西日本シティには8,204億円も引き離されているのがわかる。
第5位の大分銀行は1兆7,806億円。第6位の宮崎銀行は1兆7,068億円で、その差はわずか738億円となっている。宮崎銀行が前期比1,274億円増(8.1%増)と善戦しているからだ。第7位の親和銀行は1兆4,562億円。第8位の十八銀行は1兆4,472億円で、その差はわずか90億円しかない。福岡県を除いて第一地銀が2行あるのは長崎県だけであり、両行合わせて2兆9,034億円は、他県と比較すると良く健闘しているとの見方もできる。【表2参照】ただし、十八銀行の預貸率は57.7%と九州地銀(18行中)最低。また、親和銀行も筑邦銀行の預貸率64.0%に次いで65.3%と3番目に低く、それぞれ余資の運用に苦戦しているのがわかる。
第12位の南日本銀行から第18位の佐賀共栄銀行までの7行を見ると、貸出金の増加額は200億に届かず、第17位の長崎銀行は前期比23億円減となっており、下位行ほど厳しい状況になっている。その背景を探るため、九州地銀が本拠地とする県別人口および貸出金残高を表した【表3】を見ていただきたい。
表3から見えるもの
九州の人口は1,311万人(15年9月1日現在の推定値)。そのうち福岡県は、人口509万人(人口比率38.8%)に対し、福岡県内に拠点を構える銀行の貸出金比率は49.6%とほぼ半分の比率となっている。今後、九州の経済と金融はヒト・モノ・カネが集積している福岡市に一極集中していくことになりそうだ。福岡県を除く九州6県の貸出金比率は、人口比率に対して大きくマイナスとなっている。大分県では人口比率8.9%に対して、大分県内に拠点を構える銀行の貸出金比率は6.8%と2.1ポイント低い。第一地銀の大分銀行の預貸率は65.5%であり、貸出金増加額も281億円(前期比1.6%増)【表1】と低迷。大分県の場合、大分信用組合や大分信用金庫など他業態の金融機関が健闘しており、断定はできないが、大分県の経済基盤が縮小してきていることの表れではないだろうか。
大分県だけの問題ではない。人口減少と高齢化による地域経済の縮小は、地方銀行の貸出金にも見られると言えよう。
(つづく)
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