話題沸騰の量子コンピューター(後)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏量子コンピューターで実現すること
量子コンピューターが実現すると、今までリソースと時間的に難しいと考えられていた難問を現実的な時間内に解くことが可能になると考えられている。量子コンピューターは、今までのスーパーコンピューターを用いても解決できなかった複雑な計算や、大規模なシミュレーションや機械学習への応用が期待されている。とくに、新薬開発、気候変動への対応などをはじめ、財務モデリングや物流の最適化、機械学習の高速化など、現実のさまざまな問題の解決策として注目されている。
実際に、がん細胞と治療剤が結合する構造などを正確に把握するのには数年の歳月がかかっていた。そのような壁があり、新薬開発に膨大な資金と長い歳月が必要であった。しかし、量子コンピューターを利用すると、このような作業は数十分でできるようになるので画期的である。
さらに将来有望視されている自動運転の場合にも、最適のルートを早く検索することが求められる。最短時間と最短距離で目的地に到達できるルートを提示しないといけない。このような際に活躍が期待されているのが量子コンピューターである。その結果、最小のエネルギーで、最適な結果を導き出すことができる。
量子コンピューターは未来の産業競争力の獲得や経済安全保障などにおいて重要な技術なので、米国や中国は量子コンピューターの開発にしのぎを削っている。技術的にはまだ米国がリードをしているが、特許数において中国は世界トップに躍り出ている。量子コンピューターでは米中は一歩も譲れない闘いを展開している。IDCの調査によれば、量子コンピューターの市場規模は2027年には76億米ドルになるだろうと推定されている。
仮想通貨の暗号が解読される恐れ
量子コンピューターの高速計算が実現すれば既存の暗号化システムが解読されてしまい、危険に晒される可能性があると言われている。とくに今回開発が発表されたGoogle社のチップによってビットコインの暗号が解読される恐れがあるというニュースが流れ、ビットコイン市場にも衝撃を与えた。
米国のシンクタンクであるハドソン研究所によると、量子コンピューターによる暗号の解読が現実化すると、金融市場では3兆ドルの被害が発生しうると警告した。しかし一方では、そのような危険性はまだ存在しないという指摘もある。なぜかというと、ビットコインの暗号を解読するためには100万個以上の量子ビットが必要になるが、Googleチップの量子ビットは100個レベルで、100万個レベルに到達するには10年以上かかるという。ビットコインも10年の間に量子抵抗アルゴリズムを開発して、対応を講じることになるだろう。
現在の市場では量子コンピューターに関する関心が高く、量子コンピューター関連企業に莫大な資金が流れ込んでいる。莫大な資金と世間の関心で、量子コンピューターは数年内に実用されるかもしれない。AIに次ぐ次のテーマである量子コンピューターの今後が興味津々である。
(了)
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