2025年01月20日( 月 )

糸島半島でも進む半導体関連産業の振興

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 三菱電機(株)(東京都千代田区)は、電気自動車(EV)や家電製品などの民生機器などに使用されるパワー半導体の需要拡大に対応する目的で、福岡市西区今宿のパワーデバイス製作所に約100億円を投資し、新工場棟を建設する。

 新工場では、既存のモジュール組立・検査工程の製造ラインの一部を集約し、部材受入から製造、出荷までの生産工程を効率化するほか、製品開発力の向上をはたすべく、設計・開発・生産技術検証から製造まで一貫して行う生産ラインシステムの構築も目指す。

 今宿の新工場で構築された生産ラインシステムが、国内外の同社他工場でも効果を発揮することで、パワー半導体の安定供給に寄与することが期待される。新工場は、2026年10月の稼働開始を予定している。

今宿の新工場(S造地上5階建、延床面積約25,270m2)、完成イメージ
今宿の新工場
(S造地上5階建、延床面積約25,270m2
完成イメージ

    また、糸島市の前原IC側の産業研究団地、糸島リサーチパーク内には、次世代半導体の開発・製品化を促進するための施設、三次元半導体研究センターがあり、企業や大学研究機関、自治体などに開かれている。スマートフォンやウェアラブル端末などの小型化に必須となる、部品内蔵基板の国際標準規格化など成果も上げており、設備も充実している。天神・博多といった福岡市中心部への交通アクセスも良いため、先端技術の商品化に向けた研究、実証実験、ショーケースの場として相応の利便性を備えている。

福岡県公表資料より
福岡県公表資料より

 同研究センターは11年の開所以降、県内外の半導体企業の新技術・新製品開発に貢献しており、延べ約260社、3,500件の支援実績を上げている。提供する製造設備などの利用料収入は億単位にのぼるなど、今後さらなる存在感の発揮が期待される。

 にわかに活気づく糸島半島における半導体関連産業。北九州でも、半導体後工程最大手の台湾ASEが進出を検討中と報じられるなど、福岡全体でシリコンアイランド再興の兆しが見えてきている。

【代源太朗】

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