2025年01月23日( 木 )

ついにユン大統領が拘束される(前)

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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏

韓国大統領としては史上初の逮捕

韓国国旗 イメージ    突如、非常戒厳令を宣布し、韓国の政治を混迷に陥れた韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領(64)は、非常戒厳をめぐる捜査当局からの出頭命令を拒み続けた。その結果、韓国の捜査当局から逮捕状が出され、15日、ついに逮捕された。

 韓国の捜査当局は15日午前、内乱を首謀した疑いでユン大統領に出されていた逮捕状を執行し、ユン大統領を拘束した。逮捕されたユン大統領はその後、京畿道果川(カチョン)市にある高位公職者犯罪捜査庁に護送され、取り調べを受けている。

 韓国の大統領は憲法上、反逆罪や内乱罪以外では罪に問われないことになっているが、ユン大統領は韓国の現職大統領としては史上初めて内乱罪の容疑で身柄を拘束された。護送されたユン大統領は直後の午前11時から午後9時40分まで休憩時間を挟んで約8時間にわたり取り調べを受けた。高捜庁関係者によると、ユン大統領は黙秘権を行使して供述を拒否しているという。ユン大統領は自分が拘束されたことも、逮捕状を出した捜査当局も違法だと主張しているようだ。

ユン大統領に対する国民の不満

 ユン大統領は検事総長出身。政治経験がまったくないなか、政治の世界に入り、与党の大統領候補として出馬、大統領に当選した。その当時、野党候補に対する不信感が強く、ユン大統領に政治経験がないことが気にはなっていたが、ユン大統領は自分の信念を貫き、妥協せず、公正な政治をやってくれると思ってユン大統領に票を入れた。ところが、いざ大統領になったら、ユン大統領は巨大野党とコミュニケーションを図るどころか、拒否権ばかり乱発し、野党からも反発を買うようになった。

 未熟な政局運営だけでなく、大統領夫人の各種疑惑に対しても公正どころか、腑に落ちない対応を繰り返し、国民からも愛想を付かされていた。ユン大統領は周囲のいうことに聞く耳を持たず、思慮が浅く、軽率な行動ばかりを繰り返して国民の信頼を失い、支持率が下がる一方だった。

 その矢先に、いくら国のためとはいえ、武装した軍隊を国会に投入し、自ら法の秩序を壊しただけでなく、国民に銃を向けようとしたことに国民は怒りを感じている。正気とは思えないこのような行動に、韓国国民は一斉に抵抗し、大統領の座から引きずり降ろそうとしていたわけだ。

 捜査にも応じず、警護庁と警察がぶつかりそうな状況に韓国国民はいらいらしていた。ユン大統領に対する不満や非難の声は日に日に高まり、全国各地でデモが行われ、寒いなかでも多くの国民がデモに参加していた。そのような状況下で、ユン大統領が逮捕された。筆者は「韓国の民主主義はまだ生きている」とホットした。

(つづく)

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