ついにユン大統領が拘束される(後)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏弾劾の引き金となった非常戒厳
与野党がねじれ現象の状況だったため、ユン大統領が何か政策を出そうとしても、いつも巨大野党からけん制されて阻止され、思うままに政局運営ができないというもどかしさはあっただろう。
今回の非常戒厳は国を救い、「自由民主主義」を守り、国家機能を正常化するためだったと主張しているが、それをそのまま信用する国民はあまりいない。夫人の疑惑が積み重なり、疑惑が増幅することによって、ユン大統領が追い込まれていたのは事実だ。それを打開する方法として、戒厳令を出したようだが、これはユン大統領にとっては、自分の政治生命を終わらせるかもしれない最悪の手段であった。
武装した特殊部隊までもが国会議事堂に突入したが、そうしたなかでも軍人らは冷静に行動し、発砲するなどの大きな流血事故には至らなかった。国会は混乱のなかで戒厳令の解除を要求する決議を可決。憲法に基づき大統領はそれに従わねばならず、ユン大統領は昨年12月4日未明に戒厳令を解除した。
現在、昨年12月3日の「非常戒厳」宣布をめぐり、合同捜査本部が内乱容疑で捜査を進めている。ユン大統領は昨年12月14日に国会で弾劾され、大統領としての職務を停止されている。憲法裁判所で弾劾が決定されると、ユン大統領は大統領を罷免されることになる。
逮捕当日の状況
今月3日にもユン大統領の拘束を試みたが、大統領警護庁により阻まれたため、1回目は令状の執行に失敗した。合同捜査本部は15日早朝、ソウルの大統領公邸で逮捕状の再執行に着手。警護庁の職員は官邸への侵入を阻止しようとバスでバリケードを築いたり、人間の壁をつくったりしていた。大統領公邸の入り口から建物までの間に警護庁は三重の封鎖線を設けた。それにより対峙が長期化したり、衝突で流血の事態になったりするのではないかと懸念する声も上がっていた。そこで、2回目は、警護庁の抵抗を想定し、警察は3,200人態勢で臨んだ。だが、幸い大きな抵抗はなく、捜査員らは公邸内に入ることができた。あとで聞いたところ、「令状執行を妨害すれば現場で逮捕され、年金も受け取れない」という警察の言葉を聞いた若い警護の人間が捜査官の進入を阻止しなかったため衝突は起こらなかったようだ。
今後の展開は
ユン大統領は拘束されたものの、48時間以内に、逮捕状が請求される必要がある。土曜日の夜に逮捕令状が発行されたので、ユン大統領は概ね20日間拘束されることとなった。大統領は憲法で不訴追特権が保障されているが内乱罪は例外となっている。内乱の首謀者として裁判で内乱罪が確定すればユン大統領は死刑、もしくは無期懲役となる。死刑になる確率は低いが、裁判をめぐって世論が分裂する可能性は高い。
それとは別に、弾劾の裁判も進められる。弾劾が妥当かどうかの判断は憲法裁判所が下す。裁判は14日に開始され、6月までに決定が下される。弾劾裁判は、8人の裁判官が審理する。
韓国の憲法に従い、ユン大統領の罷免には6人以上の賛成が必要である。罷免が決定した場合、60日以内に大統領選が実施される。憲法裁の弾劾審理は、14日の1回目の弁論期日に続き、16日に2回目の弁論が予定されているが、捜査当局に身柄を拘束されたユン大統領は出席できなかった。憲法裁は2月16日までに計8回の弁論期日をあらかじめ決めている。ユン大統領の政治生命の行方に世界が注目している。
(了)
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