農林中金 巨額赤字により経営体制一新へ

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赤字転落

 農林中央金庫(農林中金)は、2024年4~12月期の連結決算で1兆4,145億円の赤字(前年同期は970億円の黒字)を計上し、25年3月期の通期赤字は1.5兆~2兆円規模に達する見通しとなった。赤字の要因は海外金利上昇で含み損を抱えた米欧国債の売却を進めたためで、これにより損失が膨らんだ。さらに、ドルを調達するためのコストが増加し、収益が圧迫されたことも影響した。

 この赤字額は、リーマン・ショック時の09年3月期(5,721億円)を大きく上回り、農林中金の歴史上最大の赤字となる。

経営責任とトップ交代

 外債運用での巨額損失を受け、奥和登理事長は引責辞任の意向を固めた。後任には北林太郎常務執行役員が有力視されており、経営体制の刷新とともに運用戦略の見直しが急務となる。近く開催する経営管理委員会で人事案を内定する。

 農林中金は、資産売却と同時に資本増強も進めており、今回新たに411億円の増資計画を公表。調達済みの資本と合わせた3月末までの増資規模は約1.4兆円になる予定と説明している。

福岡支店不動産の売却

 農林中金は、福岡市の中洲川端駅近くにある福岡支店跡地(約370坪)を日鉄興和不動産(東京都港区)に売却。日鉄興和不動産は24年10月末に取得している。

農林中金福岡支店跡地
農林中金福岡支店跡地

【内山義之】

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