結婚式場「アルカディア」破産申請へ 助成金詐欺で元社長ら逮捕、経営行き詰まる

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
法人情報へ

 結婚式場「アルカディア」を運営する(株)アルカディア(久留米市、中山和子代表)は、2月25日に事業を停止し、破産手続きの申し立て準備に入った。

 同社は1989年に設立され、福岡県や佐賀県で結婚式場を展開。コロナ禍前には年間売上高が40億円を超えていたが、新型コロナウイルスの影響で売上が大幅に減少。2020年8月期には6億円、21年8月期には2億3,400万円の赤字を計上していた。24年1月末時点での従業員数は約140人だった。

 近年、売上は回復傾向にあったものの、2月3日、新型コロナウイルス対策の雇用調整助成金(雇調金)を不正に受給したとして、福岡県警と佐賀県警の合同捜査本部は、元社長の大串淳容疑者(54)=久留米市=ら5人を詐欺の疑いで逮捕した。容疑は、従業員97人の休業日数を水増しして申請し、福岡労働局から雇調金2,202万円を不正に受給したというもの。その後も捜査が進み、2月13日には支配人を含む従業員3人が追加で逮捕された。さらに、2月21日には厚生労働省福岡労働局が同社に対し、不正受給を理由に支給の取り消しを決定。約10億1,896万円の返還を求めるとともに、返還額の20%に相当する約2億379万円の違約金と延滞金の支払いを命じた。

 大串容疑者は地元の大学を卒業後、冠婚葬祭互助会を運営する企業に勤務。その後退職し、02年9月に「ロイヤルパークアルカディア」のオープニングスタッフとしてアルバイト入社。その後、昇格を重ね、2024年2月末まで同社の社長を務めていた。

 同社の公式ホームページでは、破産申請の方針とともに、本日以降の挙式・披露宴・宴会のすべてが実施できなくなったことが告知されている。

【緒方克美】

関連記事