先制ゴール奪うも終盤に逆転許す 福岡1-2川崎

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イメージ    サッカーJ1リーグ・アビスパ福岡は26日、ホームのベスト電器スタジアムに川崎フロンターレを迎えて第3節の試合を行った。川崎を率いるのは長谷部茂利監督。昨シーズンまでアビスパ福岡を率い、クラブの歴史を塗り替える躍進を成し遂げた名監督だ。

 対するアビスパはここまで開幕2連敗。新加入選手がそれぞれの個性を生かすプレーを見せるものの、結果にはつながらないもどかしいゲームが続いている。

 アビスパのスターティングメンバーは、これまでとはシステムを変えた新しい布陣。「まずは失点を食い止めたい(金明輝監督)」と、屈強なセンターバックを3人配置する守備的なメンバー構成でゲームに臨んだ。

 前線中央には、アビスパ加入後初先発となる元スイス代表FWナッシム・ベン・カリファ。攻撃の中心を務めてきたFW紺野和也をベンチに置き、代わってこちらも今季初先発となるFW金森健志が登場。中盤にはMF見木友哉とMF秋野央樹が入る、これまでとまったく違うスタイルとなった。

 試合は、川崎がボールを支配し、アビスパがしっかり守備を固めて対抗するという形勢でスタート。前半開始そうそう、川崎FW家長昭博らのシュートがアビスパゴールを脅かすが、DF安藤智哉を中心とした集中した守備でピンチをしのぐ。

 アビスパサポーターに歓喜の瞬間が訪れたのは15分。最終ラインに下がっていたMF秋野が前線を一瞥して鋭く左足を振り抜くと、オフサイドぎりぎりのポジションからFWナッシム・ベン・カリファが鋭く抜け出してパスを受ける。FWナッシム・ベン・カリファはそのままエリア内に侵入し、狙いすました右足シュートを放つ。アビスパ福岡、今季初の先制点。FWナッシム・ベン・カリファとしては、加入2年目にしてアビスパ初ゴールとなった。

 「先制点を奪えれば、そこからのゲーム運びには自信がある」と常々金監督が話していたが、ついにその瞬間がやってきた。FW金森、MF名古新太郎らが懸命に走ってプレスをかけ、最終ラインではDF田代雅也、DF上島拓巳、DF安藤が身体を張る。常に全力で走り続ける、アビスパらしい躍動感あるプレーがピッチ全体で展開された。

 だが、待っていたのは厳しい現実だった。39分、DF安藤が左サイドで川崎FW家長を倒してしまう。川崎に与えられたフリーキックを蹴ったのはDF三浦颯太。ゴールに向かっていくクロスボールをFW家長がヘディングで触ってコースを変え、ボールはアビスパゴールに吸い込まれた。

 1-1で前半を終えたが、ここまではアビスパにとってはいいゲーム。金監督も、試合後「プラン通り、しっかりゲームコントロールできていた」と振り返った通りだ。

 だが後半、両チームともに選手交代のカードを切っていくなかで、チームの成熟度の差が試合結果を左右する。アビスパは後半開始からFW岩崎悠人、さらにFW紺野、FWウェリントン、FW藤本一輝らを送り込んで勝ち越し点を狙うが、なかなかチャンスにはつながらない。対する川崎も次々と交代選手を投入、途中出場の選手が決定的な仕事をしたのは川崎だった。

 85分、右サイドでボールをもった川崎FW伊藤達哉がクロスを上げると、アビスパDF田代とDF上島のあいだにポジションを取っていたFWエリソンがするすると抜け出し、強烈なヘディングシュートを放つ。GK小畑裕馬は横っ飛びで触れるのが精一杯、ボールはゴールネットに収まった。アシストのFW伊藤、ゴールを決めたFWエリソンは共に途中出場。長谷部監督の采配が見事に決まった、といえるだろう。

 終盤の勝ち越しゴールを許したアビスパに、反撃に出る余力は残されておらず、ついに開幕3連敗を喫してしまった。金監督が試合後「守備組織を時間をかけて改善、修正してきたのだが、結果につながらなかった」と振り返るように、課題は守備。攻撃面は徐々にかたちが整い、得点にも至っているだけに、失点を抑えることが最大の課題だ。

 次の試合はあっという間にやってくる。次節は3月1日(土)、昨年リーグ王者のヴィッセル神戸のホームに乗り込むアウェーゲームだ。難しい相手と厳しいスケジュールでの連戦が続くが、なんとしても勝ち点を積み上げていかなければならない。

【深水央】

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