建築物省エネ法・建基法改正 目的と留意点
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国土交通省九州地方整備局建政部
住宅調整官 桒原崇宏 氏「4号特例の見直し」とは、具体的にどのようなものであり、何に留意すべきなのだろうか。また、事業者に対するサポート体制はどうなっているのだろうか。国土交通省九州地方整備局建政部の住宅調整官である桒原崇宏氏に解説してもらった。
対象となる建築物の規模とは
国土交通省九州地方整備局建政部
住宅調整官 桒原崇宏 氏2050年カーボンニュートラル、2030年度温室効果ガス46%削減(13年度比)の実現に向け、建築物分野での省エネ対策の加速や木材利用の促進のための抜本的な取り組みの強化が必要不可欠です。このため、2022年の建築物省エネ法・建築基準法改正により、省エネ性能の底上げや、より高い省エネ性能への誘導、木材利用の促進のための建築基準の合理化などが措置されました。25年4月1日の施行日以後、原則すべての新築住宅・非住宅に省エネ基準適合などが義務付けられるとともに、建築確認・検査の対象となる建築物の規模の見直しが行われます。【図①】
【図①】 現行の建築基準法では、いわゆる「4号特例」として、都市計画区域などの区域外では、一定規模以下の建築物は建築確認・検査の対象外であり、また都市計画区域などの区域内では、建築士が設計・工事監理を行った一定規模以下の建築物は、構造関係規定などの一部の審査が省略されています。一方で、木造建築物の仕様は多様化しており、構造安全性の基準への適合を、審査プロセスを通じて確実に担保し、消費者が安心して建築物を整備・取得できる環境を整備する必要が生じていました。
今般の法改正により、建築物の規模の見直しが行われ、階数2以上、または延床面積200m2超の建築物については、構造によらず、都市計画区域内外に関わらず建築確認・検査の対象となり、構造関係規定等の審査の対象となりました。また、省エネ化などにともない重量化している木造建築物について、地震動などに対する影響に配慮するため、木造建築物の仕様の実況に応じて必要壁量・柱の小径を算定できるよう、基準の見直しが行われるなど、構造規制の合理化等も行われています。
太陽光発電の設置などで増す重量の対策なども改正建築基準法の狙い 建築確認・検査の対象となる建築物の規模の見直しなどは、25年4月1日の施行日以後に工事に着手するものに適用されます。建築確認を円滑に進めるため、着工が施行日以後となるものについては、施行日前から建築主事・指定確認検査機関とあらかじめ相談することをご検討ください。また、確認申請から確認済証の交付まで一定の審査期間が必要となるため、施行日前に工事に着手する予定の場合は、時間的余裕をもって建築確認申請を行ってください。
施行日前に確認済証が交付され、施行日以後に着工するものについては、着工後の計画変更や検査において構造関係規定などへの適合の確認ができない場合には、計画変更に係る確認済証や中間検査合格証、検査済証が交付されないため、一定の余裕をもって対応してください。また、着工後の計画変更や検査において、構造関係規定などに係る図書の追加提出が必要となることから、申請者などの負担軽減のため、施行日前の着工とすることや、建築確認申請を施行日以後に遅らせることなども考えられます。
省エネ基準適合 義務化の留意事項
建築物エネルギー消費性能適合性判定(省エネ適判)については、国土交通大臣の登録を受けた建築物エネルギー消費性能判定機関、または所管行政庁において判定を受けることができます。省エネ基準への適合が確認された場合に発行される適合判定通知書、またはその写しを、建築確認申請を行っている機関などへ提出してください。なお、省エネ適判を行うことが比較的容易な特定建築行為に該当する場合は、省エネ適判を省略し、建築確認審査と一体的に省エネ基準への適合を確認します。
省エネ基準適合義務制度は、増改築を行う場合にも対象となりますが、建築物全体ではなく、増改築を行った部分が省エネ基準に適合する必要があります。なお、25年3月以前に着手する増改築であって、現行制度で義務付け対象となる場合は、既存部分を含めた建築物全体で省エネ基準適合が必要です。また、現在は中規模以上の住宅に適用されている届出義務制度および小規模住宅・非住宅に適用されている建築主に対する説明義務制度は、25年4月の省エネ基準適合義務制度開始以降は廃止されます。
周知・サポートに向けて
国土交通省では、改正建築基準法・改正建築物省エネ法に関連する情報をホームページに掲載しています。また、法令改正の概要や2階建木造一戸建住宅などに係る手続き、構造基準・省エネ基準の解説、申請図書の作成方法、建築確認申請・省エネ適判申請時における注意点などについて、オンライン講座を受けられるサイトを開設しています。申請図書の作成や申請手続きについては、各都道府県単位でのサポート体制が構築されています。その他、省エネ基準に関するご相談・ご質問は、省エネサポートセンターで、設計・工事監理に関するご相談・ご質問は建築物省エネアシストセンターで受付を行っておりますので、ご活用ください。【図②③】
【図③】
「改正建築物省エネ法オンライン講座」のウェブサイトトップ画面【田中直輝】
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