税理士の突然の廃業に会計ソフトの落とし穴?(後)
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関係性を否定も実態は「?」
取材のなかで、(有)キャリア・スタッフの代表・穂積氏と、同氏の税理士業務の後継者であり、同社取締役も務める篠原税理士との関係性を否定しようとする対応もあった。篠原税理士事務所を訪れた際に応対した職員は、「同社は移転して同じ建物にない」「(穂積氏から)事務所を借りているだけ」などと説明し、穂積氏との関係を否定しているかのように映った。
だが、篠原税理士事務所が所在する福岡市博多区堅粕の鉄骨造3階建のオフィスビルには、表札に「CAREER STAFF」の名が残されている。登記上も、キャリア・スタッフが所在していたことになっていたが、14年7月1日に移転。移転先は同ビルに接する鉄鋼造3階建で、登記上の種類は「倉庫」となっている。同ビルの土地・建物は、穂積氏が所有。なお、同社ホームページでは、同ビルを「ミュージアム z platz」と表記し、「私たちは挑戦する。会計事務所に何故、美術館が必要かを仕事の中で表現する。世界にただひとつ、美術館併設の会計事務所として存在する」という説明書きがされている。
取材で以下のようなやり取りもあった。11月4日、記者がキャリア・スタッフの代表番号に電話をかけると、男性が「はい、篠原税理士事務所です」と応答。不審に思い、「この電話はキャリア・スタッフではないか?」と確認すると、男性からは「間違えました」という返事があった。一方、キャリア・スタッフ移転先の建物は、1階部分が駐車スペース。その入り口には、「z platz」と表示されており、一見、建物の内部でつながっていてもおかしくないように見えた。電話窓口を共有するほか、篠原税理士が取締役を務める企業でもありながら、キャリア・スタッフが、あたかも無関係であるように言う理由がわからない。
真相不明の税理士廃業を発端とする会計ソフトの使用料をめぐるトラブル。訴えを起こした企業の不自然な実態。この不可解さ極まる状況では、訴えられた側は、すんなりと請求に応じるわけにはいかないようである。ちなみに、今回の会計ソフトは、システム会社が直接的に企業を相手とせず、税理士や税理士法人、公認会計士などを間に挟むかたちでサービス提供されている。一応、念のため、税理士との間で使う会計ソフトに関しては、使用料などが顧問料に含まれているかどうかを確認しておくべきかもしれない。
(了)
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