立花証券に業務改善命令 高齢顧客に不適正勧誘繰り返す 金融庁

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
法人情報へ

 8日、関東財務局は、立花証券(株)(東京都中央区)が高齢の顧客に対して繰り返し不適正な投資勧誘を行っていたとして、金融商品取引法に基づき同社に対して業務改善命令を出した。

 立花証券は「株の専門店」を掲げ、対面営業を中心とした11部支店体制で全国展開ならびに、ネットで「立花証券ストックハウス」を運営している。

 問題となったのは、2022年4月~24年8月の検証期間における75歳以上の高齢顧客への国内株式取引に関する勧誘だ。立花証券の営業員は、顧客に対し虚偽の情報を伝える「虚偽告知」や、誤解を招く説明を行う「誤解表示」など、不適正な投資勧誘を実施していた。不適正と見なされた勧誘は58件で、対象は10部支店、営業員は24人、合計31人の顧客が影響を受けた。

 さらに、損失額を正確に説明しないままの売却勧誘(79件)、節税メリットを強調した損切り取引(31件)、一方的な勧誘により顧客の受動的な承諾を得るかたちでの売買(11件)など、計121件の不適切な勧誘行為が34人の顧客に対して行われていた。

 これらの行為により、対象顧客の年次売買回転率や約定件数は平均して非常に高く、累計手数料が24年8月末時点の評価損益を上回るケースも多数確認された。手数料獲得を最優先とする姿勢が過当取引を招き、顧客に過度な負担を強いていた実態が明らかとなった。

 また、同社の内部管理と経営管理の両面においても重大な問題が判明している。営業現場の部支店長や内部管理責任者は、営業員の不適切行為を抑止するためのモニタリングや通話記録の確認を行っておらず、けん制機能をはたしていなかった。内部管理部門も、過去の検査結果を踏まえた是正措置を講じず、監査部門は人員不足を理由に実効性のある監査を実施していなかった。また、経営陣は、23年に自主規制機関から指摘を受けても改善策の策定を怠っていた。これにより、同様の勧誘行為が改善されることなく続いていた。

 背景には、手数料実績に基づく営業員の評価制度と、それを見直さずに営業優先の企業文化を放置してきた経営陣の姿勢がある。金融庁は、こうした体制が虚偽告知や誤解表示といった法令違反行為を助長したと判断した。

【寺村朋輝】

関連キーワード

関連記事