ホテル運営大手15社に公取委が警告 客室情報の相互交換で独禁法違反の恐れ
2025年5月8日 17:40
8日、公正取引委員会はホテルの運営事業者15社に対し、独占禁止法に違反する恐れのある行為を行っていたとして警告を行った。15社は相互に、客室の稼働状況や価格設定に関する機微な情報を継続的に交換していたとされる。
公取委によると、15社はそれぞれが運営するホテルについて、毎月の客室稼働率、客室平均単価、1室あたりの収益、将来の予約状況や価格設定の方針などを、他社と情報交換していた。この行為が独占禁止法第2条第6項に規定する「不当な取引制限」に該当し、第3条に違反する恐れがあると判断した。
情報の交換は継続的に行われており、価格カルテルや市場分割につながるリスクを公取委は指摘。公取委は15社に対し、今後同様の行為を行わないよう文書で警告した。
また、対象となったホテルのなかには、業界団体である(一社)日本ホテル協会および(一社)全日本ホテル連盟の会員が含まれていた。このため、公取委は両団体に対しても、会員ホテルに対し独占禁止法の遵守を周知徹底するよう要請を行った。
今回の警告は、デジタルプラットフォームや業界横断的な情報共有が進むなかで、企業間の過度な情報交換が競争を阻害するとの懸念を反映したものといえる。とくに価格設定に直結するような情報を他社と共有する行為は、消費者利益を損なう恐れがあり、監視が強化されている。
公取委は近年、航空、小売、ITなど複数業界に対しても類似の警告や調査を行っており、今回の措置は宿泊業界にもその監視の目がおよんだ格好だ。今後、15社の対応や業界団体による再発防止策が注目される。
【寺村朋輝】
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