堀内電気が金融機関向けに蓄電池講習会を開催 関心の高さをうかがわせる

 (株)堀内電気(本社:福岡市博多区、堀内重夫社長)は28日、金融機関を対象に「蓄電池ビジネス講習会」を開催した。太陽光発電設備の施工など再生可能エネルギー事業を手がける同社には、脱炭素投融資を模索する銀行などからビジネスモデルの照会が相次いでおり、本講習会は実務的な判断材料を提供する狙いで企画したもの。当日は政府系を含め約50名が参加し、関心の高さを示した。

熱心に耳を傾ける金融機関の関係者
熱心に耳を傾ける金融機関の関係者

    講師を務めたのは、九州大学炭素資源国際教育研究センター元教授(工学博士)の原田達朗氏。原田氏は、「太陽光など脱炭素電源は火力発電原価が安い。発電コスト面でも脱炭素電源への大規模シフトが加速する」と指摘した。

 ただし現状の再生可能エネルギーの主力である太陽光発電は、買取価格の下落や頻発する出力抑制などで新規開発は停滞している。

 これらの課題を緩和する「キーアイテム」が蓄電池だ。原田氏は「蓄電は再エネの抑制電力を国産エネルギーとして有効活用し、火力依存度を低下させる。5年以内に国内電力市場で確実に大きなポジションを得る」と宣言。とくに出力抑制が頻発している九州は、蓄電池事業の市場性の大きさを指摘した。

 質疑応答でも活発な議論が展開された。伊予銀行福岡支店・原祐太支店長代理は「料金設定の根拠が見えにくい電力市場を、項目を示し可視化してくれた。融資取り組みの有効な判断材料になった」と手応えを語る。

 再生可能エネルギーの成長ドライバーが太陽光からの移行を迫られるなか、地域金融機関が脱炭素と地方創生を両立する新たな融資機会を探っていることが浮き彫りとなった。今回の講習会は、その羅針盤を提供したかたちであり、堀内電気は今後、銀行とも連動しながら施工業者として事業開発を加速させる構えだ。

【鹿島譲二】

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