韓国経済の五つの懸念材料(前)
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先月パリで発生したテロ事件は全世界にショックを与え、今後世界経済へ影響が懸念されている。特に韓国のように輸出依存度の高い国は、このような外部要因に敏感に反応ならざるを得ない。韓国経済は内部的には家計負債が重く圧し掛かっているし、経済環境の急激な変化による産業の構造調整も必要な時期に達しつつある。今回は多くの経済専門家が憂慮している韓国経済を取り巻く五つの懸念材料について取り上げてみたい。
韓国経済の懸念材料の一つ目は、米国の利上げである。2006年7月のアメリカの基準金利は5.25%であった。しかし、リーマンショックで景気が悪化するのを事前に防ぐため、連邦準備制度委員会(FRB)は2007年9月から金利を下げ始め、2009年の年初には事実上のゼロ金利を実施、現在に至っている。ところが、昨年10月に米国の量的緩和政策は終了し、今年12月中には連邦準備制度委員会は金利の利上げを実施するのではないかという観測が広がっている。
米国の金利上げは韓国経済にどのような影響を与えるだろうか。アメリカが金利を上げると、海外の投資資金は投資先からアメリカに還流することになり、韓国などの投資先では株価の下落と通貨の下落が同時に起こる可能が高い。またアメリカが金利を上げると、韓国銀行も金利を上げざるをえなくなる。その結果、景気が低迷する中で金利の上昇を実施するので、より一層の景気の悪化を招くおそれがあり、それは経済に大きな打撃を与えかねない。今でさえ経済は厳しいのに、利上げは企業の活動にブレーキをかける役目を果たしかねない。それに新興国ではすでに起こっているが、資本流出が起こり、新興国経済を萎縮させ、それは結果的に韓国輸出に悪影響をもたらす。何よりも利上げは金利負担の増加を意味するため、住宅購入などで多くの家計負債を抱えている韓国経済に時限爆弾になりかねない。
韓国経済の懸念材料の二つ目は、中国経済の減速である。中国経済への傾斜を深めてきた韓国経済は現在、輸出の4分の1を頼るほど、中国への経済依存度が高い。ところが、中国経済は最近になって成長が鈍化し、成長率は6.9%に落ち込んだだけでなく、不動産バブルの崩壊などが公然と囁かれている。リーマンショックを乗り越えるために、中国政府が景気の刺激に4兆人民元を投入した。それは中国及び世界経済を危機から救い出すことには成功したものの、今はその後遺症として設備の過剰、鉄鋼などの供給過剰を発生させ、自国だけでなく世界経済成長の足かせにさえなっている。韓国のある経済学者は2017年頃中国発の経済危機が発生することを予言し、それに備えるように警鐘を鳴らしている。
韓国経済の懸念材料の三つ目は、韓国の家計負債である。今年の第3四半期までの家計負債は1,166兆ウォンで、韓国の年間予算370兆の、何と3倍にもなる家計負債を抱えている。家計負債の返済可能性を見る指標として可処分所得に占める家計負債の比率があるが、可処分所得に占める家計負債の割合は164%で、OECD加盟国の平均である135%を大きく上回るだけでなく、加盟国の中では最高の水準である。これだけの負債は今までは低金利時代なのでよかったものの、金利が徐々に上がってくると、家計がそれに耐えられるかどうか分からない。なので、韓国経済にとって一番大きな懸念材料としてこれを上げる経済学者も多い。それから、家計負債に問題が発生すれば、それは同時に金融機関の危機にもつながる。韓国の家計負債は負債の金額が大きいことも不安材料であるが、それとは別次元の問題も抱えている。(つづく)
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